第20話魔法習得、装備購入

 少し疲れたので、周りの人とはお別れして休憩にする。西門の外で放置露店した。



 お茶を飲みながら反省をする。ちょっと頭が周れば気が付けた内容だったな、まあ魔法の覚え方も分かったしそちらはいいか。

 でも近接戦闘が難しいので違う武器が欲しい。今知っている中ではモルゲンステルンが良さそうだし、あの狸親父に相談してみよう。


 今日はみんな喜んでくれてたみたいだし、結構楽しかった。自分のレベルアップはアルミラージを脱兎で倒せば直ぐに出来るだろうから、もし皆がまたやりたいっていうなら、やってあげてもいいんだからネ。



 翌朝、日本時間九時、ゲーム時間二十二時。西門そばのギルド出張所に入り、LVUP窓口に並ぶ。相変わらずピンポン音がする。数人が手を振ってきたので手を振り返しておいた。

 自分の番になったので、スキルを習得したいと伝えると結構な数が一覧に出てきた。ここで悩んでいると後ろの人に迷惑が掛かると思い、窓口の人に相談したら、今覚えられるスキルを紙で出してくれた。

 これ絶対プリンターか何かで印刷しないとこんな速度で出ないと思うのですが、ゲームなので気にしないです。しかし、ピンポンがうるさいのでギルドの外に出て考える。


覚えられるレベル:必要経験値『詠唱時必要MP』魔法名と内容


LV一:十『MP一』

ストーンショット 無属性攻撃魔法 石を複数打ち出す


LV三:三百六十『MP二』

アースワーク   土属性補助魔法 土塁を作る二十分間

ウォーターベール 水属性補助魔法 水膜で攻撃ダメージを軽減二十分間

クライネウインド 風属性攻撃魔法 かまいたち

クライネファイヤー火属性攻撃魔法 ファイヤーボール

クライネヒール  聖属性癒し魔法 HP回復


LV五:一万『MP三』

ストーンショットガン無属性攻撃魔法 近距離広範囲に石をバラまく


 魔法以外のスキルも覚えられるらしい。こちらはレベルに左右されないのかな?


スキル名:必要経験値『スキルタイプ』スキルの内容

パッシブ  持っているだけで有効

アクティブ スキルを発動すると有効


調合二  :一万『パッシブ』

生産の成功率UP、生産物が増える可能性が微増する


兎の餌二 :一万『パッシブ』

LV五以下の敵が寄ってくる、LVに関係なく敵が逃げなくなる


脱兎二  :一万『アクティブ』

走る速度が脱兎の十分の一、効果時間四十秒、使用MP一


兎のふん二:一千万『パッシブ』

“兎のふん”と比較し、アイテム入手率UP。生産物の成功率UP。状態異常率低下。


 はあー読むのだけで疲れた。

 ストーンショット系、石なら土属性じゃないのか?

 無属性ってものがこの世の中に無いのかもしれないな。万人が納得出来る”無”を私は説明出来きないし、仕方がないのかも知れない。

 かまいたち、今の人が知っているのか?

 兎のふん二、これ覚えさせる気が無いだろ!一千万って何だよ! 

 他にも色々と言いたことはあるけど、やめよう。ゲームなんだから全然気にならないし。

 

 攻撃魔法はLV三までなら、アルミラージ約一匹分くらいだし、覚えてもいいかも知れないな。特徴を掴んで自分に合うものを選べばいい。

 経験値が一万以上必要なスキルはとりあえず要らないだろう。調合も覚えたけどまだ使ってないし、称号系スキルはメリットが思いつかない。


 クローネシュタットのギルドは混んでいるし、ポシェット枠をあけたいし、エールラーケに行こう。



 ゲーム時間零時、お使いクエを受けて、商会、串焼き、移動を開始する。

 途中アルミラージが居るところについたので倒して肉と皮を補充する。ポシェット枠を開けるために経験値取得宝箱を全部使う。

 合計八匹のアルミラージを倒して、肉と皮を八百ずつ手に入れた。

 

 MPが八十になって移動効率が良くなったな、エールラーケが見えた。エールラーケに近づいたので徒歩にする。既に街道にはプレイヤーと思われる人が何組も移動しているのが見える。

 途中、猪とヤマアラシにあったが余裕で撃退するが、ポシェットいっぱいなので剥ぎ取りはしない。


エールラーケに入りギルドに向かう。数人のプレイヤーがいるが、買取窓口が空いていたので買い取ってもらう。


「肉が二千百個で二十五万二千、皮が二千百個で二十五万二千、合計五十万四千だね」

 相場は兎死体二百、肉百二十、皮百二十に戻っていた。肉と皮を売り相場を確認した後も変わっていなかった、相場の変動幅が変わったようだ。

 他の相場も確認した、安いものは省略


・兎の涙:百万二十マール


・兎の涙大粒:千万二百万マール


・アルミラージの角:百万マール


 宝石はクローネシュタットに比べて高いけど、アルミラージの角は変わらないのか。

 

 LVUP窓口で、ストーンショットと属性魔法五個を覚える。商会に行きクエストアイテムを受領し、屋台で猪肉串焼きを一本食べて元気が出たところで、クローネシュタットに戻る。


 街道からそれたところに向かっていると猪が出てきた。とりあえず、

「ウォーターベール」体にうっすら水色の透明の膜が貼られた。

「アースワーク」目の前に土がニョキニョキと生えて、高さ一.二m、幅一m、長さ十m位の土の塊が出た。


 猪が突っ込んできて、ジャンプしてアースワークの上に乗った。だめだーこの土塁意味がない……。そこから私目がけて突進してきた、近すぎて避けられない。

 吹っ飛ばされて一回転して地面に倒れた。そのまま私の体を鼻で突き上げてくる、微妙に痛い。


 自ら敵と反対方向に転がり、少し距離が空いたところで、猪に向かって手を出し、


「クライネファイヤー」

 十cm位の火の玉が直ぐそばの猪に当たる。猪の顔に火が移り、顔を振っている。


「クライネウインド」

 白い山形の曲線をした物が、複数猪に向かって飛んでいき、猪の体に直線的な傷が複数入って、血が少し飛び散った。


 こちらに気が回っていないようなので槍を突き出して止めを刺す。ふうー、攻撃を受けたが思ったよりHPが減っていなかった。


「クライネヒール」

 HPが全回復したが、減りが少ないからどれだけ回復したのか分からない。


 うーん。距離があるうちに槍で殴る方が早いし楽だな。脱兎に使う分のMPが減るから戦闘に使うのは勿体無い。使うなら、接近戦になったときに牽制に使う程度かな?


 途中、アルミラージがいる場所に着いたので、ついついアルミラージを倒してしまう。また肉と皮でポシェットが一杯になってしまった。エールラーケに戻り売り、また狩り、また売り、また……駄目だ。

 一生抜け出せない気がするので、クローネシュタットに戻り、商会に納品する。今日は当日中に達成できたのでドヤ顔を決めて、ちょっと遅めの昼ご飯にする。



 日本時間十五時半、ゲーム時間十一時、エルドワの調子が気になったので、クエスト報告のついでに“エルドワの友達”称号をセットして、スラム街に向かう。


 スラム街に着くと、エルドワ達が居た。


「お、えーす。また迷子か? わたし? 元気だよ」

 目的を持ってこの場所に来たと分かると思うんだけど、彼女なりの冗談やコミュニケーションなのかも知れないな。

 フント薬局納品分以外の薬草類を買わせてもらった。それぞれ百個ずつだったので、六千マールを支払った。この調子で行けば蓄えも直ぐに貯まるだろう。

 それでも別の金儲け手段を探ないとな。私も一生この街にいる訳では無いのだから。


 獣人メガネ猿の男の子コンタクトが、掃除のおばちゃんから何やら紙を貰っていた。ポシェットから取り出した紙の束にそれを追加していた。何だろう? と思っていたらエルドワが解説してくれた。


「ああ、あれはコンタクトが勉強するために、字が書いてある物を拾ったら渡しているんだよ。学校? スラム街に住んでいるのに無理だよ。まずは生活費を稼がないと」

 健気、うううう、泣けてくるわ。私も服のポケットに入れっぱなしになっていた、ギルドの説明用紙と薬草、毒消し草などが書かれた用紙をあげた。

 エルドワは掛け算や割り算が出来ないみたいだし、やっぱ貧困から抜け出すには勉強も必要かもしれないな。よし、暇を見つけて、掛け算と割り算くらい教えてみよう。


「あっ、えーすさんだ。日本のお話してー」

 子供達が集まってくる。馬がなくても走る馬車の話や、火を使わない灯りの話などをしてあげた。


「また、お話してねー」

 エルドワ達と別れて、兎串焼きを食べつつ今後の事を考える。やっぱり近接戦闘武器が欲しいなあ。遠くの敵は脱兎で狙いをつけて吹っ飛ばせば終わるし、出てきたばかりなら槍で何とかなる場合が多い。


 どうせ行くならお使いクエを受けるけれども、その前に緊急納品クエを受けて直ぐに達成する。

 お使いを受け、商会に行き、よし、頑張るぞー。



 途中、アルミラージを狩って、肉と皮を一杯にしてからエールラーケに着く。貧乏性というか、目の前にあるとどうしても手を出してしまうね。

 ギルドで買取してもらってポシェット枠を空けた。ついでにLVも六にしておく。さあ武器屋に向かおう。


「おはようございます、先日の十文字槍凄く役立っています」

 獣人狸の店主に軽く挨拶し、近距離戦が辛いので、三百万以内で近接武器が欲しい。魔法詠唱は気にしないで構わないと伝えた。


「うーん。大変ありがたいお話なのですが……」

 予算帯にあうような良い武器は無いようです。代わりに防御力を上げる事、装備の重さにも配慮した方が良い事をアドバイスしてもらった。

 革兜、革の胸当て、革の腰当て、革篭手こて、革の手袋、革の脛当すねあて、革靴、合計三十万マールで購入した。あれ? これなら他でも買えるんじゃない?

 それでも近接武器も欲しいので、モルゲンステルン五十万と甲羅の盾を二十万で購入。武器も売れ筋は値上がりするようです。


 お使いを済ませて、新しい装備を確認するために手頃な敵を探す。過去と同じような殴り方をした方が比較しやすいかな。


 猪が穴から出てきた。右手にモルルンモルゲンステルン、左手に盾を構える。

 猪が突進しをサイドステップで避けて、殴りつける。力が入っていない一撃だが、わずかながらダメージが入った気がする。

 再度猪が向かってくるので、正面から迎え撃つ。盾を少し前に出し、右手のモルルンモルゲンステルンを高く掲げる。

 猪の顔にモルルンモルゲンステルンがヒット、手応えがあり猪は崩れるが、急には止まらず、体当たりを喰らう。

 盾では突進を受けきれず私も体勢を崩したが、何とか持ちこたえた。再度顔殴りつけるとヒクヒクしたので、もう一度渾身の力で叩きつけて倒した。杖より全然良いし、近接でも何とか成りそうな気がしてきた。


 クローネシュタットに戻ろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る