第10話エルドワ売る、そして買う、短時間で二回も……

 日本時間十三時、ゲーム時間六時、兎がいる時間だな、ちょっと兎を狩ってみようかな。周りにプレイヤーが多くいるが、兎は待ったなしで襲って来るから仕方がない。

 しばらく歩くと直ぐに兎が出てきた、兎が飛びかかってきたので避ける。体全体が横に移動する。兎相手でも避けやすい。

 再度兎が飛びかかってきたので、杖で殴りつけて叩き落とす。すかさず近づいて蹴りあげて、空中に浮いた兎を杖で叩きつける。空中コンボって楽すぃ~。

 兎を倒して三の経験値と肉と皮を手に入れた。


 敵の攻撃を避けれるのはいいんだけど、なんか大味というか、ぶあーーって感じなんだよな。ぶあーーって。もうちょっと、ッサッサって感じで避けてバキバキって感じで追撃出来ないのかな?


 ちょっと天狗になっていると兎が三羽穴から出てきた。


 直ぐに近づいて兎の一羽を蹴り、そのまま蹴りながら走る「兎は友達」と思いながら。

 振り返ると別の兎が突進してきたので、杖を振りかぶって吹っ飛ばす。視覚外から来た兎が左手に噛み付いたので、杖を手放し耳を持ちグルグル回してから地面に叩きつける。

 どの兎もフラフラしているので止めを刺す。経験値九と肉、皮を三個ずつ手に入れる。


 俺の周りのプレイヤー[兎狙い]が口をあけている(゜д゜) そりゃー昨日までの戦闘内容と今の戦闘内容を見たら変わりように驚くよね。


「あの~凄い強くなってた様なんですが何かスキルでも入手したのですか?」

 意を決した一人が質問しにきた。


「AIサポートってのを知らなくて今までオフにしてたんだけど、オンにしたら戦いやすくてびっくりしましたよ」


 って返事したら (°д°)(°ω° )Σ(゜д゜lll) って顔してました。いや私もビックリしてるんだって。



 ゲーム時間九時まで狩りをして、午前中の狩りと合計して、犬三十匹、兎八十匹倒して死亡ゼロ、皮八十、肉八十、薬草:生、毒消し草:生などを多数入手。うーん満足、ゲームって楽しいー♪

 これならレベルを一つ、二つあげても、調合スキル覚えられそうだな。足らなかったら戦えば直ぐ貯まりそうだしな。


 途中屋台で兎の串焼きを買って食べる。おいしいー。浮かれ気分ですわ。ギルド出張所に入り騒がしくなるが気にせず報告買取窓口に並ぶ。

 野犬で三千、兎で四千マールを入手。肉と皮の値段は先ほど変わらず安かったので売らず。

 所持金三万四千三百。経験値六百七十五。LVUP窓口に並び、経験値九十を使ってLV二に。LV三には三百六十必要との事なので、足りてるからLV三に上げた。残りは二百二十五だ、LV四には千四百となっているので、暫くは無理そうだな。


 LV三になったおかげで、MPが四十まで増えた。LV一の倍だ凄いぞ。これなら脱兎の効率も上がりそうだ。

 一応、薬局に休む許可をいただき、持っていた薬草:生と毒消し草:生を合計四百で買い取ってもらった。そこで他のアルバイトの人? と会ったので挨拶をしておいた。


婆腹バーバラじゃ、獣人馬で魔法使い、薬師をしとる。よろしくな、ホッホッホ」

 確かに馬面だな。何で女性なのに馬面のキャラにしたのか、個性なのかも知れないね。名前の音の響きはいい感じなのに、漢字を見ると凄い残念な感じになるね。

 お手伝いもいるみたいだし、安心して金稼ぎが出来るな。それにやっとプレイヤーの知り合いが出来たな。しかも、「じゃ」とか「ホッホッホ」とか言ってるから、俺よりも年上かも知れない、ふふふ。



 おや? あれはエルドワじゃないのかな、なんか元気が無さそうに少しうつむきながらトボトボと歩いてる、ちょっと声をかけてみるかな。


「あー爺さん、また迷子か? 元気が無いかって? 兎皮と兎肉を肉屋や革屋に売ろうと思ったら、相場が安くなりすぎちゃって、これじゃあ食べていけないよ。

 あ、肉は食べれるけどそれだけって訳には行かないだろ、だから安いのは覚悟で売ろうかどうしようか悩んでたのさ、はぁー」

 どうやら相場が下がって困っているようだ、今なら少しくらい色をつけて買ってあげることも出来るな。いくらなら困らないのか聞いてみよう。


「えーと、在庫が肉と皮が百個ずつで、とりあえず九千マールあれば他の買い物が足りるかギリギリだから、一個あたりうーん……わかんない」

 なるほど、計算ができないのは分かった。代わりに計算するとしよう。単純に考えたら一個四十五だけど九千で足りないかもっていってるし、とはいえ高く買いすぎてブラウメーアに売りにいったら暴落してたら目も当てられないな。


「肉と皮を百個ずつ合計で一万マールでよければ買取りしよう。ただこれは今回だけの特別価格になる、次回以降はこの値段を約束できない、何かしらの方法を考えるまでのつなぎだと思って欲しい」

 この子の面倒を一生見ることは出来ない、今出来るのは多少高く買い取ってあげること位しか思いつかない。とりあえずの時間は稼げたと思うので、この子頑張りに期待しよう。

 でも、困ってたら、そんときはまた考えよう。


「お爺さんありがとう。皆で別の方法を考えてみるよ! でもそんなに直ぐには思いつかない気もするけど……」

 そうだよねえ、でも頑張って欲しい。しかしスラム街の子供NPCもポシェットを標準装備しているのが気になる。質問したら「当たり前なこと聞かれても分からない」だってさ。



 中央公園に着いた。


 !!なんじゃこの数は、平日だというのに一万から二万くらいの人がバザーを出している、よく見ると買取以外にも販売をしている人もいる。まあ逆もあるわな。


「なんだこの数は、平日なのに仕事や学校はどうしてるんだ」

 と驚いている獣人羊っぽい男性戦士がいる。服と服の間から毛がモコモコ出ている。何で男性で羊を選んだの? 女の子なら可愛い感じがするけど、ちょっと理由を聞いてみたいな。


「それは放置露店だね」

 ちびっ子ドワ子[ドワーフね]が説明をしてくれた。なんだ放置露店て?


「放置露店ってなんですか?」

 羊戦士がドワ子に尋ねた。いいぞいいぞーもっと聞けー。


「バザー中はゲーム継続しながらログアウト出来るんだ」

 便利だな使おう。


 バザーしている人の相場や品物を確認してみる。兎の肉や皮を買いたいって人はいないようだ。逆に兎の肉や皮を五十~三十五くらいで売りに出している人がいた。

 私もバザーの設定をする。価格は……ギルドの買取価格の二.五倍の三十マールを四百十個ずつ。

 多分ブラウメーアでの買取価格は百二十マール。もしかしたら大量売りなので価格が下がって百マールを切るかもしれないが、一気に三十マールにはならないだろう。

 みんなにも利益、私にも利益WIN&WINだね。さて、休憩も兼ねて放置露店機能でログアウトする。



 休憩から帰ると買取が終わっていた残金百マール。これ失敗したら私も終わるかも。ギルドに戻りブラウメーアのお使いクエストを五個受けて商会に行き、東門からブラウメーアに向かう。


 ゲーム時間で約十時半過ぎ。街から出るが、途中穴から出てくる兎が面倒くさい。街からある程度離れて人が少なくなっているところを確認し、

「脱兎」――――「脱兎」――――……


 レベルアップのおかげでMPが四十に増えたので昨日よりも移動効率が良くなった。


 ゲーム時間で十二時半。冒険者ギルドに着く、相変わらずプレイヤーは誰もいない、報告窓口に行く、ドキドキだー。


「ウサギ肉と皮の買取をお願いします。」


「肉が六百個で七万二千、皮が六百個で七万二千、合計十四万二千だね」

「十四万二千マールでよろしいですか? はい いいえ」


 当然“はい”を選択する。ついでに今の相場を確認したところ、価格はそのままだった、まだ行けるな。

 商会でお使いの品を受け取りゲーム時間は十三時、よし戻るぞ。


 クローネシュタットの商会に着く、時間は十五時半だ。やっぱり街に近づくと襲ってくる兎がじゃまだな。


「ええーーー!! 今日依頼を受けて今日納品ですか!? 馬で移動したんですか? 馬とか見えないようですけど」

 商会のNPCが驚いていたが、あやふやに答えておいた。まあ往復五時間って凄いよね。本気の私ドヤー。


 ギルドでクエストを報告して七千五百マールを入手。また中央公園で放置露店をして夕飯だな。


 

 日本時間十九時、ゲーム時間十八時、兎肉と皮を単価三十で、千百十五個ずつの買取が終わっていた。薬草:生と毒消し草:生の端数は枠を圧迫するから捨てたけど、薬草や毒消しは勿体無いのでそちらは捨てなかった。


 お使いクエを受けて、商会に行って、串焼き食べて、元気も出たし、いざいざいざいざブラウメーアに。

 

 はい着きました。脱兎は楽だねー。相変わらずプレイヤーは居ない。報告窓口で買取をしてもらう。

 

「肉が千二百個で十四万四千、皮が千二百個で十四万四千、合計二十八万八千だね」

「二十八万八千マールでよろしいですか? はい いいえ」


 当然“はい”です、ウハウハ。今の相場を確認したところ、

価格は兎死体:百九十、兎肉:百十四、兎皮:百十四だった。ウフフフ、まだ行けるな。


 商会に行き荷物を受け取り、クローネシュタットに戻る。商会に納品し終わって直ぐにお詫びが届いた。間に合いましたー、一日二往復ドヤッ。


 ギルドに行き、報告をして七千五百マールを入手。ついでにポシェットを一つ買って装備。よし、公園に行って放置露店して、風呂に入ってこようっと。


 トイレとお風呂を済まして、スポーツドリンクを飲みながらCONNECTを見る。孫娘の板には、


「必殺技覚えましたりました\(^o^)/ スラッシュ決まると気持ちいです(*゜▽゜*) おじいちゃんVRありがとう」


 グヘヘヘ。なんだい? 何が欲しいんだい言ってごらん。


「おめでとうo(^▽^)o 喜んでもらえて嬉しいよ。またゲームの状況を教えてね(^O^)」

 しかし戦士職をやっているのか、スキルを覚えるとか、どんだけやりこんでるだろう?


 あ、もしかして、才能があるのかもしれない。自分でいいうのもあれだけど、頭は良いし[形が]、性格は素直だし[もう少し考えた方がいい]、第一可愛っからなあ。

 ゲームが上手に出来るのも納得だー。


 もう二十三時か、VRはこのまま放置でいいかな電気代なんて無料みたいなもんだし、おやすみなさい。

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