第8話 人聞き



『人聞き』


 太陽が真上に上る頃、護身用の銃の手入れをする。

 不自由のない屋敷と境遇と言えど、自分の身を護る為には備えておかねばならない。

 という事ではなく、ただの趣味だ。


「ご主人様、ご主人様! 大変です! お庭の木に登った近所の猫さんがおりられなくなってしまいました!」


 知るか。


「でも、にゃーにゃー鳴いてて可哀想なんですよ!」


 だからなんだ。


「助けてくださいっ……て、撃ち落としちゃ駄目ですよっ!」


 人聞きの悪いこと言うな。

 たまたま持ってただけだ。



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