第17話 巻き込まれる

 

 すべての衣装と自分のも片付けて教室を出ると榊がいる。


「え? もう着替えたの?」

「当たり前でしょ!?」

「もう一回着て」


 なぜ携帯を出してる?


「嫌」

「えー! 上手く撮れなかったんだよね」


 上手く? すでに撮ってるの?


「ちょっと見せて!」


 榊に近づき榊の携帯を取ろうしたけど手をあげられると榊は背が高いから全く携帯に手が届かない。


「そろそろ次の競技だぞ!」


 着替えてって言ったくせに。私には届かない場所に携帯をキープしつつ榊は私を連れて行く。生徒会室に行くと橘君もコスプレの衣装を持って来ていた。

 橘君と榊は楽しそうにさっきの自分たちの企画の話をしてる。私は恥ずかしさいっぱいだよ。好きで着てるとか思われてたら嫌だな。

 鍵とコスプレの衣装を置いて競技場へ戻る。

 ……いつ撮ったのよ榊!!



 体育祭は無事終わった。

 コスプレの衣装と男女の更衣室の教室の鍵と生徒会室の鍵を返しに行ったら、顧問の吉田先生はかなり満足そうだった。榊はどんなリクエストを先生から受けてたの?

 他の競技はいたって真面目だったのに。


 今日は榊の料理当番。疲れてるかと思いきや元気そのもの。榊はなんでクラブに入ってないのよ。


 榊が料理してる間に携帯ゲット! 写真を見る。……なんで私のメイド服姿がこんなに。何時の間に!! ゴール! ああ、ゴールは最後のミイラ男だけみればいいからじゃない!! なんの役をやるか決めた時、補助からゴールの役目に変えたのはこの為?


「勝手に俺の携帯見るな!」

「榊も私の電話に勝手に出て切ったじゃない!」


 後ろから榊の携帯を取られて振り返る。え? 榊……顔赤い……珍しい。いや、はじめて見た。可愛い……。


「それと見るのは違う!」


 と、携帯を持ってキッチンへ行く。

 なんか言ってやろうと思ってたのに。なんか言えないし。



「じゃあ、また月曜日ね」


 ご飯も食べていろんな意味で疲れた私は榊の家を後にしようと玄関へ。


「あ、アリス」

「ん?」

「月曜日からはアリスも朝門に立つからな!」


 え? 嫌だ! 朝苦手なのに。


「なんでよ?」

「暇だから」

「はい?」


 榊の暇を潰すのは私の役目になってる?


「ただ立ってるの暇なんだよ。先生とじゃ話ができないし。暇だ」

「えー! 嫌! 朝苦手なのに」

「迎えに行くから」


 そういう問題じゃない!


「嫌!」

「じゃあ迎えに行くからな!」


 相変わらず私の嫌は通じないようだ。


「月曜日な!」


 榊はご機嫌だね。あー、どんどん巻き込まれていくよー!

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