works/4852201425154938372

『転成』

https://kakuyomu.jp/works/4852201425154938372/episodes/4852201425154938377


 たった三文字、「すごい」で済む内容を1,600文字以上かけて綴った上で漸く落とされる、非凡なる非凡さ。溜めに溜めたからこそ、そのセンテンスは非凡として印象付けられる。

 人為的な空疎は意図を見抜かれその人意を喪うものだけれど、賛辞が端から見れば空疎に見えるというのはありふれた話だし、以て人為を天為と見せ掛ける技法は、例えば戯曲によく見られる。音楽や書割、それから払った入場料を惜しむさもしさと、周囲の客席で非凡の現出まで観衆を引き留めることのできないウェブ小説でそれを狙う剛胆。

 ある種の奇術の様な演出は、それと同質の結果を期待させる。主人公不在のままの7ヶ月に、この物語は如何なる意味を込めているのだろうか。

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