第4話 気持ちの変化


ー屋上ー


「ほら、先輩アーン」


「煩い」


「あ!その玉子焼き自信作なんすよ!美味いっすかッ?」


「………」


結局悠斗の押しに負けた十夜は、渋々弁当を口にする。


どうせ買いに行くのも面倒だった上、昼飯代も浮くのでそこまで断る理由がなかったからだ。


「……ぃ」


小さく呟いた声は届かず空へ消える。


「ん?なんですか?」


聞き取れず、悠斗がもう一度問うが同じ答えは返って来ない。


「…なんでもない」


「えー!言って下さいよぅ!」


「…うっさい、黙って食え」


(二度も言えるか…)


「もー…つれないんだから…」


悠斗はぶつぶつ文句を言いながらも、自分が作った弁当を食べてくれた事実が嬉しくて思わず頬が緩む。


そんな悠斗の表情に、十夜が目を奪われたのは内緒の話。


これは何かの間違いなんだと、必死で自分に言い聞かせる。


「えへへー!」


「…んだよ、気持ち悪ぃ」


「ふふ、知りたいっすか?」


「…いい」


「それはぁ、オレと十夜先輩のめくるめく愛の物…」


「黙れ!」


(やっぱり気のせいだ、うん)


こうして今日も一日が過ぎていくのだ。


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