第4話 謎の取材男性

 その後も何回かその病院に行く事がありました。時間が経つとその病院の当直にも慣れて、次第にその噂も忘れかけていた頃のことです。その日も何かの用事があって、あの事務の女性が当直室のドアを叩きました。

「はい」

 その後、私は何か事務的な話をしたような気がします。その間、手持ち無沙汰にあの話を思い出したのです。

「そう言えば最近出るんですか? 例のアレは」

 すると女性は嬉しそうに答えたのです。

「センセー、それがですよ。最近全くでなくなったんです。やっぱりあれ、本当だったんですね」

 何がですか? そう聞くと女性は嬉しそうに話を進めた。

「あれ? センセー、知らなかったんですか? あの雑誌の取材が来た話」

 女性によるとそのとある事件をきっかけに、全くその子どもの幽霊は出なくなったそうです。そのきっかけというのが、何とも言えない、胸が熱くなる、いかにも出来すぎた話だったな、と感じたのを今でも覚えています。


 その子どもの幽霊の噂があってから、ある日、とある雑誌社から取材の依頼が来たそうです。話だけでも聞かせて欲しいということで、名前や住所を推測出来る物を一切出さないという条件で、話だけは提供することになったそうです。

 取材の来た男性は一頻り話を聞くと、ゆっくり、大きくその話にうなずいていたようです。そして、驚く事にどうか一晩泊まらせて欲しいと話したそうです。

患者でもない部外者を泊まらせる訳にはいかない、そう病院側も一旦は断ったのですが、どうしても、入院費も払うから、そう言って男性は引き下がらなかったそうです。最後は押しに負けた病院側が、地下1階の当直事務室の横にある、小さな待合室に泊まる事を許可したそうです。そこなら、何かあっても当直事務員が気づく事も出来るからです。

 こうして男性は地下1階の真っ暗な中、一晩泊まることになったのです。

 真夜中、何かの物音に当直事務員が気づいて、少しドアを開けたそうです。

するとそこには驚愕の光景が広がっていたそうです。

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