28 初夢・おせち飽きた

【初夢】


「五月様、初夢ご覧になりましたか?」

「んー、見た気はするが覚えてない。お前は?」

「何も……」

 初夢を見るのは元旦の夜とか、二日の夜だとか、様々言われています。


「一富士二鷹三茄子が縁起が良いのだよな」

「茄子は生すや成すで、発展を意味するのですよね」

 そうです。


「ん。で、四扇五煙草六座頭と続く」

「これは時代とともに変わりそうですね」


 富士と扇は末広がりで繁栄を、鷹と煙草の煙は上昇を意味しています。

 茄子と座頭は毛がない(怪我ない)ダジャレです。


「オールキャストだったらどんなストーリーでしょう?」

「富士山に鷹と登って茄子食べる」

「・・・」

 五月先生、さぶっ。


「富士山と鷹が闘って賞品が茄子」

「それならせめて、五七五にすればよかったのに……」

「あ……」

 五月先生、いまいち売れないはずです……。




【おせち飽きた】


 一月四日の夜です。

 まったりとしたお正月も終わりです。


「三が日が終わったな」

「……」

「ねぇメイド」

「あい?」

 メイドさん、まったりしすぎです。


「もういい加減、おせち飽きた」

「そうですねぇ」

 味にバリエーションがないのですよね。

 だいたいが醤油と砂糖の味。


「でも、まだ残ってますから、も少し我慢してくださいませ」

「んー、やだ」

「困りましたねぇ」

「洋食の味が欲しい」

 おせちもいいけど〇〇〇もね、ですね。


「なら黒豆と昆布巻きと、きんとんだけでも召し上がってください」

「何でその三つ?」

「この一年をまめまめしく働き、喜びとお金をお願いいたします」

「なるほど」

 メイドさん切実な願いです。


「良いこといっぱいの一年にしたいですから」

「そうだな、じゃあ食べとくか」

「あい」

 五月先生、ファイト!

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