第3話お嬢様が甘いもの好きと思われるのは大体どっかの迷言のせい

昼休みのこむぎとザラメの会話。

「ザラメさん、デザート食べないんですか?」

「こむぎにやるよ」

「わあ!ありがとうございます~!」

これがあったのが昼休み。


最後の授業が始まる前のシオとザラメの会話。

「ほい。1本ぐらいええやろたまには」

「喫煙者みたいにポッキー出すのカッコイイとか毎回思ってるだろシオ?」

「結構オジサマ達にはウケるギャグやのに~」

これがあったのが最後の授業が始まる前。


帰り間際のエストリカとザラメの会話。

「どうかなザラメちゃん?マフィン焼いたんだけれど…」

「貰う」

「沢山あるからたくさん食べてね!」

これがあったのが帰り間際。


「それじゃあウチはこれからデェトやから~」

「じゃあね~」

笑顔のエストリカ。

「また明日~」

同じく笑顔のこむぎ。

「襲われてろ~」

ジト目で手を振るザラメ。

そうしてシオだけが放課後の繁華街に消えていった。

「じゃあ、どこかで甘い物食べていきませんか?引っ越して来た時から気になってたんですけれど…」

そうこむぎが言うもザラメはむすっとした顔、エストリカは困った顔をした。

「…あれ?なんか私地雷踏みぬきました?」

「ずっとな」

不機嫌な顔のザラメに困惑したこむぎだったが、そこに漫画のキャラのようなツイン縦ロールの同じ制服を着た女の子が現れた。

「見つけましたわ砂糖ザラメ!」

「あ、ジョロちゃん」

「はろージョロ」

「ち・が・いますわ!天王寺・ジョロキア・小町ですわ!」

「だからジョロ」

ザラメが突如現れた小町と名乗る女の子がザラメにガミガミと叫んでいる。

「あのこちらの方は…」

こむぎが困惑しているとエストリカがそれに応じる。

「ジョロちゃん。ザラメちゃんと同じぐらいお金持ちなんだよ~」

「いわゆるオジョーナカマってやつですね」

何故か外国人風な発音をするこむぎ。

そうして見ていると小町は一通の手紙を渡す。

「うちの給食センターグループの試食会ですわ。ぜひ貴方にも来てほしいの」

「手紙とはいつもながらに古風な…今どきアプリでホログラム付きメールぐらい当たり前だろ?」

「想いを伝えるのに文字だけではつまらないですわ。直接渡して、直接伝えて、形に残して伝える。そっちのほうが素敵じゃありません?」

「手製の和紙に毛筆まですることないと思うがな…友達も連れて行っていいか?」

「うふふ、姫の数少ない友達ですもの歓迎しますわ」

「その呼び方やめろ小町」

「だからジョロキアでは!!!あ」

そう話している二人を見守りながら、エストリカがこむぎに伝える。

「ザラメちゃん先天性の糖尿病なんだよ。だから常時起動型アプリで栄養計算して食べてるんだ。視界に入ったもののカロリーとかが出るみたい」

「でも、エストリカさんのは食べてましたよね?」

エストリカの手にある余ったマフィンを見るこむぎ。

「かなりカロリー控えめ…というかダイエット食品みたいな感じかな?だからジョロちゃんの試食会って病院とかの栄養士さんの料理パーティーみたいなの」

「なるほど…え?じゃあエストリカさん栄養士さんなんですか?」

「お母さんがね~」

そう話す二人の視線の先には、無駄に空回りするジョロキアとすこし嬉しそうなザラメがいた。

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