電車

電車に乗っていると、たまに障がい者の方が乗車してくることがある。


そんな時、周りの人の視線が一気に集まる瞬間が絶対ある。


そんな時、障がい者の家族を持っている人は、何とも言えない気持ちになる。


視線が集まるのは仕方がないことだと思うし、当然のことだと思う。


ただ、何とも言えない気持ちになるんだ。


友達や彼女と乗っていると、さらに何とも言えない気持ちになる。


一緒に乗ってる友達や彼女が嫌な顔をすると、僕は弟のことを、その子にさらに話したくなくなる。


恐くて言えなくなるのだ。


弟は見た目が普通だから、一緒に電車に乗っていても最初はバレない。


けどやっぱり、普通とは違う言動のせいでそのうち視線が集まってくる。


昔はそれが嫌だったけど、最近はもう慣れた。


でもやっぱり大きな声で騒がれると、少し嫌な気持ちになる。


お腹の上のあたりがモヤモヤして、何かが渦巻いているような感覚に襲われる。


でも、弟は公共の場で騒ぐことはそんなに少ないし、僕はそんなに苦痛には感じない。


だけど、他の障がい者の方をみると、大声で騒いだり、ウロウロ歩き回ったり、人に迷惑をかけるような行動をしている方もいる。


そんな時、障がいにある程度理解がある僕でも、少し嫌な気持ちになってしまう。


そして、弟の顔がよぎり、そんなことを思ってしまっている自分がいることが嫌で、またお腹の上のあたりがモヤモヤして、何かが渦巻いているような感覚が襲ってくる。


その方に家族の連れがいると、その家族の気持ちを聞きたくなる。


僕は弟のことで何もわかってない奴に同情されるのはいやだ。


だけど、この気持ちを共感してくれる人がいれば、少し気が楽になるんじゃないかと思うことはある。


変な仲間意識かもしれないけど、そういう家族の方を見るだけで、あの人も頑張っているんだから自分も頑張ろうと思える。


こんな気持ちになるのは僕だけなんだろうか。


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