第2話 銀行窓口へフェードイン

「オッス!僕は 桜木さくらぎ 雪夜ゆきや!スカートの中からスカートの中へ瞬間移動するエスパーさ」


 金曜日の放課後、銀行のATMで並んでいると、中から銃声が響いたんだ。

(事件だ!)

「変身!」

 僕は素早く、鞄からお面を取りだし、エスパーヒーロー『アングルメーター』に変身(変装)した。


 外はあっという間に警官が取り囲んだ。

 そう、ここは警察署の真裏の銀行だ。

 銃を持った強盗は一人。

 窓口のお姉さんを人質に立てこもってしまった。


(どうする……タイトスカートはキツイ……が、やるしかない!)


 僕は、不安そうに自動ドアから中を覗う御婦人のスカートに目星をつけ、

「フェードイン!」

 後ろから御婦人のスカートに潜り込む。

 ベージュのストッキング越しに、柔らかなヒップに食い込んだフルバックのピンクと白のショーツ……大人の女性らしい少しキツメの香水が目に滲みるようだ。

「ヒッ!」

 と言ってスカートをギュッと握る御婦人…その顔は見えないが、それがまた、僕の性的興奮を加速度的に速めていく。

「きた!きたきた!コンプリート!」


 僕の身体は、人質のお姉さんのタイトスカートへ移動する。

「レボリューション!…えっ…」

 ギュッ……やはりキツイ、僕のふくらはぎがお姉さんのふとももに挟まった。

「いや……なに……なんなの……イヤー!」

 お姉さんが恐怖と驚きで悲鳴をあげた。

 僕の足はお姉さんのふとももにムギュッと挟まれたままだ。

「超能力戦士アングルメーター見参!」

 決めポーズをとりたいが、

「お姉さん…ちょっと…足閉じないで!マジで!ちょっと~締め付けないでください」

「アンタどこから出てきてんのよ!」

 お姉さんの平手がお面の上からバチーンと決まる。

 拍子に足がスポッと抜けて、よろけた勢いそのままに強盗の顔面に頭突きが決まる。

 呆気にとられたまま、静観していた強盗は気を失ってしまった。


「もう大丈夫ですよ」

 座り込みスカートをガッチリと両手で押さえたお姉さんに手を差し伸べるが、首をフルフルと横に振りながらズリズリと、僕から距離を取るお姉さん。


(しょうがない……)

 僕は、別のお姉さんのスカートを、おもむろにまくり上げ、のれんをくぐるように身体をもぐらせる。

「フェードイン!」

 薄い黒いストッキング越しに小さめの蛍光ブルーのショーツが艶めかしく輝いている。

「ほぉ~」

 思わず声が漏れた。

 柔軟剤の香りに少し汗の香りが混ざるようなスカートの中。

(あぁ~…高まっていく…刻が見えるよ…)

「コンプリート!」


 外に瞬間移動したおらは、何事も無かったかのようにその場を離れる。

 背中に女性の悲鳴を聞きながら……。

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