018「妖精さん、ペロペロ党と最終決戦」

戦いが始まる直前に、巨漢のペロペロ族長が叫んだ。


「お嬢ちゃんっ!さっさと諦めるブヒィ!

オッパイ党の奴らは壊滅したブヒィ!

大人しく抵抗をやめて、俺らのお嫁さんになって欲しいブヒィ!

戦いは争いしか産まないブヒィー!悲劇ぶひぃー!」


『オッパイ党を皆殺しにしたお前が言うなwwww』

『なんて自分本位すぎる発言wwwww』

『妖精さん、この豚をやっておしまい!』


(先手必勝で数を減らそう、でも広場で戦うと俺が不利だな……)


広場で戦えば、数の多い豚人間が有利になる。そう、判断したシルバーは、後方へと撤退した。

その背後から、30匹の豚人間達が追いかけてくる。


「ブヒヒッ!鬼ゴッコぶひぃ?」

「捕まえてペロペロしてやるブヒィー!」

「優しく舐めるから安心して欲しいブヒィー!」


『妖精さん逃げるん?』

『偽装撤退じゃね?』

『可愛いショタに釣られる豚がいるお』


走りながら、シルバーはネット通販から破片手榴弾を購入。

右手で掴み、口で安全ピンを抜く。

後ろにいる豚人間達に、手榴弾を投げてプレゼントして、即座に地面へと伏せた。


「ぶひぃー!爆発する魔法ぶひぃー!」

「に、逃げるブヒィー!」


豚人間達はすぐに逃げ出した。破片手榴弾の被害半径から出ようとする。

だが、何秒経過しても経過しても、手榴弾は爆発しなかった。

どうやら、不良品だったようだ。


『ちょwwwww爆発しないとかwwww』

『この手榴弾、腐ってやがるっ……!』

『作った奴が……!手抜きしすぎたんだっ……!』


爆発しない事を理解した豚人間達は、笑いながら戻ってくる。

その中の一匹が、手榴弾を拾い、欲情を込めた視線をシルバーへと向けた。


「ブヒヒヒッ!魔力が尽きたブヒィ?」

「これはもうペロペロするしかないブヒィ」

「逆ハーレムの心地よさを教えてやるブヒィ~」

「エロはきっと世界を救――」


そんな時だった。不良品だと思われた手榴弾が爆発。破片を撒き散らした。


『可愛いショタには、ホイホイ付いていった結果がこれ』

『ひでぇ、まるでインド軍に納入された手榴弾みたいだ』


油断していた10匹の豚人間が、秒速7mで飛び回る破片の餌食となり、致命傷を負う。

先ほど爆発した手榴弾は、欠陥品だったが、その欠陥は『安全ピンを抜いても、爆発するのが遅い』ただそれだけだった。殺傷力は健在である。

残り20匹になった豚人間達は戦慄し、命の危機に勃起しながら驚愕する。


「お、恐ろしいブヒィ……!」

「俺達の油断すら利用して、爆発させるなんて……お嫁さんにする難易度が高すぎるブヒィ……!」

「妖精娘の手足を全部へし折って、ペロペロしてあげるしかないブヒィ……!」


『ま、まさかっ……!』

『こいつらっ……!』


追い詰められた豚人間が取った手段。それは――


「「ブヒィィィィイィ!」」


『損害度外視の突撃だぁぁぁぁ!!』

『それなんてソ連軍方式ぃぃぃぃ!?』

『妖精さん逃げろぉぉぉぉ!』


全く命を顧みない。最強最悪のカミカゼアタックだった。

ここで食い止めないと、服をビリビリに破られて、男だとばれて殺されるのは確定的に明らか。

シルバーは、拳銃の銃口を、迫り来る敵に向けて、装填されている銃弾17発を全て消費する。

乾いた音が連続して響く。先頭にいた豚人間3匹が死んだ。

だが、勢いは少ししか弱まっていない。

焦っているシルバーは即座に、ネット通販から画鋲1万本を選び、大量購入。

鋭く尖っている画鋲を出現させ、地面にバラまく。


「ブヒィー!」

「ブヒヒィー!」


豚人間達は勢いに任せてジャンプした。画鋲の地雷原を飛び超え、シルバーへと迫ってくる。


『お前らwwwwどれだけ妖精さんをレイポぉしたいんだよwwww』

『下半身の欲求のために、勇敢になりすぎぃwwwww』


(お、おわった……?)


このままでは人生終了。可愛いプラチナは豚の嫁。

そう、シルバーが思い込むほどに、豚人間達の対応は素早い。


『先頭の豚に、金的蹴りすれば良いんじゃね?』

『狭い通路だという事を、利用するんだお!』


ネットの皆の声が、脳内に響いた瞬間。

容赦なく、シルバーの細い右足が、豚人間の股間に突き刺さった。

産まれて感じた事もないような、とんでもない激痛に先頭の豚は失神。画鋲の地雷原へと倒れて突き刺さる。

後ろから飛んできた豚人間達も巻き添えにして……ドミノ倒し状態。


「痛いブヒィィィィィ!!」

「この針を抜いて欲しいブヒィィィィ!」

「このお嫁さん怖いブヒィィィ!結婚したら絶対、尻に敷かれるブヒィィィィ!」


5匹の豚人間が、転げまわって、画鋲で全身ハリネズミとなって血ダルマとなり、これで残りの豚人間は15匹となった。

シルバーは拳銃の副列弾倉を交換しながら、豚人間の精神を叩き潰すべく、残酷な真実を告げる。


「おい豚ども!

俺は男だ!女じゃないぞ!

残念だったな――」


「ブヒィィィっー!そんな訳がないブヒィー!」

「これだけ被害出して、男とか……苦しめて殺してやるしかないブヒィー!」

「美少年を、女の子にする魔法の薬があるブヒィー!だから問題がないブヒィー!」

「盛り上がってきたブヒィッー!」


『ちょwwwwwwおまwwwww』

『妖精さんが負けたら、美少女になるENDかよwwww』


生理的嫌悪感に囚われたシルバーは、破片手榴弾を購入。安全ピンを抜いて投擲した。

すぐに豚人間が手榴弾を掴んで、冷静に投げ返そうとしてくる。

男だとバラしたせいで、一部の豚は全力で、目の前にいるショタ妖精を殺す気になったようだ。


『うわぁぁぁぁ!!』

『豚の頭が良すぎるぅぅぅぅ!!』


手榴弾を返却される前に、シルバーは銃口を豚どもに向けて、引き金を何度も何度も引いた。

そのおかげで、豚人間に返却する余裕がなくなり、手榴弾が予定通りの爆発を引き起こす。

5匹の豚人間の全身がズタズタな肉塊と化し、これで残りの豚人間は10匹となった。


『妖精さん、手榴弾は投げ返される恐れがあるから、やめた方が良いですぞ?』

『手榴弾投げの正式な訓練を受けていない妖精さんには、手榴弾は危険すぎるお……』

『妖精さん、リーダーを殺した方が効率良い!』

『豚人間600匹討伐まで、あと少しだお!』


「うん……あと少しで、全てが終わる……。

死ねぇー!変態豚野郎っー!」


ネットの皆の言葉に従い、シルバーは拳銃を構えて、ペロペロ族長に向けた。

だが――最悪な事に。

生き残った10匹の豚人間達は、仲間の死体を担いで盾代わりにしていた。

拳銃弾に、厚い肉をぶち抜くエネルギーはない。だって、対人用だし。


『まじ外道wwww』

『こいつらの仲間意識どうなってるのwwww合理的すぎるだろwwww」


「現実の戦闘って、何でもありすぎて辛い……

お家に帰りたい……」


『ヘタレるなよ!』

『頑張れ!現代兵器持ってるんだから勝つる!』


手の内を知られたら、当然のように対策される。

その現実に、シルバーは嫌気が差した。

現実、マジで、クソゲーオフライン。


--------------------------------------------------------------------------------


画鋲1万本 3000円(とっさに購入したから、高い)

手榴弾 2 200円

拳銃弾50  1000円


消費 4200円


残金1万6300円 ⇒1万2100円


--------------------------------------------------------------------------------

豚人間(´・ω・`)すぐに学習しちゃう時点で、チートモンスターぶひぃー

--------------------------------------------------------------------------------



(´・ω・`)主人公が今まで購入したアイテムは、こっちに全部纏めた。

http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Neltuto_tuuhan/Aitemu.html

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る