第6話

 当然、王が召還したいのは、魔物ではない。


 彼は、時々、こうしてクローデットの力を借り、英雄の御霊を現世に呼び戻し助言を乞うているのだ。


「で、今日はいかがしましょう」


「そうじゃのう。古の英雄、メドロス大王を呼んでもらおうか。国の統治について意見を聞いてみたい」


 かしこまりました、と、王に礼をするクローデット。


 その隣で、「かしこま!」と、陽気に言った弟子。


 師匠はそんな彼女に肘鉄を入れるのを忘れなかった。


「酷いですよ師匠!!」


「ふざけてんじゃないの!! いいこと、ノエル。前みたいに、間違えたら承知しないわよ」


「間違える? ハテ、なんのことやら。私の力が強すぎて、召還ゲートが感応しより強大な魂を現世に呼び込んでしまったことですかな?」


「そうそう。円卓の王を召還して、飲んだくれのおっさんが出てきたあれよ」


「ある意味、酒場の王」


「うるさいわ」


 王様誰だ、ワシじゃ、と、陽気に言うアーサー王など、見たくはない。

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