てかLINEやってる?

色々と思うところあって、転職活動を始めた。

まあそれに関しては置いといて。


先日、中途採用の合同説明会とやらに行ってみた。営業職の補充なのだろう。どこも残業月40時間など悠々と超える飛び込み営業の募集をしていた。


情報収集や様子見を兼ねて何となく参加した私は、開始二分で場違い感を覚えていた。

内勤のOLにとって、営業など追い返すだけの存在なのだ。 電話も、飛び込みも、全て追い返す。内容の如何に関わらず追い返す。


「営業のお電話は全てお断りしておりますので結構です」


呪文のように繰り返す。


でも成果が給与に反映されるのは魅力かもしれないなあなどとぼんやり考えていたら。

後ろの人が、ペンを落とした。


机の側面の板というか、目隠しみたいなものに阻まれて拾いづらそうだったので、拾ってやった。


休憩時間。


ペンを落とした人が話しかけてきた。


「さっきはありがとうございました」


なんのことはない。普通にお礼だ。


「せっかくだし何かお話ししませんか? 情報交換的な」


ここで「ん?」と思った。思いはした。しかし転職活動数日目の私は、こんなものなのだろうと思い、話をしてみることにした。


あれよあれよという間に、現職、勤務時間、志望業界などなどを聞いたり話したりすることに。途中からは適当に話した。


そしてここで最大のミス。

LINEを交換してしまった。


そこまでは、話好きなグイグイ来る人だとしか思っていなかった。しかしLINEを交換してから、奴は本領を発揮しだした。


「せっかくだしこの後ごはんどうですか?」

「来週末は?」

「今後連絡したらちゃんと返してくれます?」


やっと「あ、これナンパか」と気づいた。遅い。遅いぞ。

気づいてからは適当に返していると、


「何ですか、生理的に受け付けないとか?」


違いますと反射的に言ってしまった。

しかし、ごめんなさい。無理です。


そんな出来事をほとんど忘れかけていて、奴の顔すら完全に思い出せなくなった昨日。

LINEが来た。


「雪降ってますね、大丈夫?」


日付が変わった頃であった。


ツッコミどころだらけである。


まず第一に、そろそろ寝るくらいの時間に連絡を寄越すんじゃない。大して親しくもないくせに。ナンパ師としてセンスないぞ。


第二に。知らないだろうが私は雪国出身なので余裕。まだコートを出していない。下手したらストール以外の防寒具を持たずに出歩く。


第三。

いつから私に彼氏がいないと錯覚していた?


「山形出身だから平気だしぃ、いざとなったらかれぴっぴにあっためてもらうから大丈夫ぅ(はぁと)」


と、送りたい。


さすがに本当には送らないけど。


でもまあこうやって連絡先ちゃっかり入手してるあたり営業向いてると思うから自信を持っていいと思う。適当に返されても折れないし。頑張ってくれ。


しかし、送る時間と彼氏持ちには気をつけるんだな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る