第2話 記憶

 「うー...うっ?」


 目を開けると、そこには天井。自分がベットの上に横たわっている。

消毒臭のする枕、横を見ると白いカーテン、そして微かに薬品の匂い。

 それによってここが保健室だということを認識する。それと、薬品の匂いに混じった香水の匂いがした。


「あっ!目は覚めた?」


 あきあらかに女性の声がした......はずなのだが、カーテンを開けて現れたのは声に全く合わない女子高生だったのだ。


「あなた、あの校長先生にTITLE無しでよく生きてたわね。」


 少し微笑む方たちで俺に話しかけてきた。しかし、やはり口調と容姿が合っていないことで妙な違和感が残る。そして、体のあちこちからくる痛みで先ほどまでの記憶が鮮明に思い出される。


「私のTITLEは魔王だ。」


 校長は静かで威厳ある声で自分のTITLEを公言した。TITLEとはその人間の一生を表す言葉だ。そのTITLEを告げるということは自分の力の詳細を予測できるようにしてしまう。

 だからこそ、あの時伊達は答えることができなかったのだ。(その他にも、言えない理由もあるのだがのちにわかるだろう。)

 しかし、校長は違う。力の詳細がばれても、そんな予想すら踏みつぶしてしまう力を持っているからこそ、自信をもって公言できるのだ。


「TITLEとは本人の一生を表す。その言葉が有名であればあるほど能力も飛躍的に強くなる。と、同時に能力を特定されやすくなる。」


校長はわかりやすく説明をしてくれている。さらに、俺の目をまっすぐ見据えて質問を投げかけてきた。


「もう一度問おう。神童 無君、君のTITLEはなんだ?」


どうやらこの人は俺が先ほど言ったことを信じてくれてなかったようだ。なら、俺はもう一度こう言おう。


「ありません。」


と..........。

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No titleもタイトルだって教えてやるよ! 楠木勇兎 @rabbit136

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