幻想的な吉原炎上

瑠璃の湖に浮かぶ泡沫の世界――金魚鉢。
そこは「うつしよの理」とは隔絶された、この世の極楽か。

世にも珍しい赤狐の亜人・フクスは、生家を没落から救うために遊郭都市へと売られていく。そこで出会った先輩遊女の青色キンギョ・ミーオと共に、やがて来る破滅的な運命へとその身を投じるのだった。

美麗で艶のある文章が説得力となって、虚構の世界でしかない物語にリアリティを生み出していく。この感覚は読んでみなければ分からないだろう。彼女たちの胸の痛みをとくと味わってほしい。

物語は彼女らが拠り所とする、遊郭都市の崩落から始まる。
そこに至るまでの経緯や、登場人物たちの悲喜こもごもに思いをはせたい。

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