第24話 アリーナランク

 「あ、キール君」

「よう、フェリス」

「勝った?」

「ああ、なんとかね。フェリスはこれからか?」

「うん、このあと5番目くらいだって」

「フェリスの魔法なら、このレベルなら1発だろ」

「キール君に言われても説得力ないんですけど」

「はやく上位ランクに入って大部屋からサヨナラしたいよ」

「ふふふ、そうね。で、そういうキール君のランクはいくつなの」

「やっと266に上がったかな。通常のアリーナ戦じゃ、そうそう上がらないよ。そういうフェリスはどうなんだい?」

「今270ね。今日勝てば265くらいのはずよ」

「個室はランク20からだったっけ」

「そ、ランク100からは気の合う人と2人部屋に入れるけどね」

「せめてランク100に入らないとプライバシーも何もないなぁ」

「このあたりのランクだと、嬉しいのはおいしい食べ物がお腹いっぱい食べられることくらいね」

結局あの試しで小戦奴に上がれたのはキールとフェリスの2人だけだった。9回戦まで全て魔法1発で終わらせたフェリスと、フェリス以外の対戦相手をとことんに潰し、そのフェリスの魔法に耐え勝ち残ったキール。他の幼戦奴とのレベル差が大きすぎたのだ。小戦奴に上がったものの二人が話を出来るのはこうしたアリーナへの行き来ですれ違う僅かな時間だけ。『フェリスが優菜なのか早く聞きたい』そう思うキールであったけれど、監視のあるアリーナへの通路ではとてもそこまでの話も出来ず、部屋は当然に男女別でもありゆっくりと話せる時間は持てなかった。

「いくぞ、いつまでも無駄話をしているんじゃない」

監視兼案内役の男がフェリスに移動を促す。

「わかってます。行きますよ。じゃ、キール君またね」

「おう、お互い頑張って早く上位ランクにあがろぜ」

お互いに軽く手を振り歩き出す。勝利を挙げたキールは待機室に、勝利を求めるフェリスはアリーナへと。

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異世界ハードモード 景空 @keicoo

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