第10話 魔法

 3回戦4回戦とキールは無難にコマを進めた。

そして5回戦キールはついに大きな壁にぶつかった

「リフレ」

確かに脳を揺らし崩れ落ちたはずの対戦者がグリーンの光とともに何も無かったかのように立ち上がる。

『まさか。いや考慮すべきだったか』

そう魔法の存在である。

『回復魔法か。そうなると1撃で意識を刈り取るような攻撃をするか、それともMP的な何かが切れるまで持久戦に持ち込むか』

しかし、どちらもリスクがあるのは確かだった。1撃で意識を刈り取るような攻撃は当然隙も大きくなるだろう。相手が他にどんな魔法が使えるか分からない中で隙を見せるのはリスクが大きい。持久戦に持ち込んでも相手の使える魔法が分からないリスクはあるが、隙が小さい分だけ回避の可能性は残せる。ただし、相手が回復魔法を使えるだけに、どれだけ時間が掛かるかわからない。そもそも倒し切れない可能性さえある。ここにいたってキールはこの『試し』に強制参加させられてから数度目の『覚悟』を決めた。




キールは気づいていた、自身の身体能力が元の世界の自分、17歳の男子高校生に少なくとも匹敵する事を。

キールは気づいていた。この世界の7歳児の耐久能力自体は元の世界の7歳児と違わないことを。

キールは気づいていた。そこに間違い無く1撃で意識を刈り取ることのできる攻撃を加える意味を。

そして選んだ。




『1撃で意識を刈り取る。それで事故が起きても受け入れる・・・』

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