あとがきという名の名状しがたい何か

あとがき(18/07/22追記)

 ※ くどくどと愚痴が書かれておりますので、作品の余韻に浸りたい方は、読まない方がよろしいかと存じ上げます。それでも読みたければどうぞ。


 ここまでお付き合いいただきまことにありがとうございます。


 はじめましての方ははじめまして。

 いつも読んでるよという方はありがとうございます。

 カクヨムの片隅で小説っぽいものを書いてるkatternと申します。


 本作は完結してもう随分と経った(2年前!!)作品なのに、ニコニコ動画でたびたび紹介していただいたり、他にもぽつぽつ評価していただいたりと、物書きとしては半人前の自分にとって実にありがたく幸せに感じている作品です。

 今回、またニコニコの方で紹介していただき(ニコニコ砲などとカクヨムでは言われております)、「流石にちょっと読みづらい所を直そうか」と思い立ち、全面的に改稿をいたしました。といっても、ストーリーの筋は変えていません。あくまで読みやすく、改行したり、表現を変えたり、その程度です。


 そのついでに、このあとがきは書いています。


 いやー。

 実は本作、一週間ちょっとで、「オラオラオラオラオラ!!」と、スタープラチナみたいに書きなぐってできた作品なのです。それが、こんなに皆さんに長く愛していただけるなんてことは、書いたときは正直に思っておりませんでした。

 重ね重ね、厚く御礼申し上げます。m(__)m


 書いた経緯ですが、当時「マンコン(漫画原作コンテスト)」なるものがカクヨムで行われており、それに参加したくて書きだしました。

 当時は、大賞を獲られた「みかみてれん」先生の「父さんな、デスゲーム運営で食っているんだ」の無双(めちゃくちゃ面白いので読んだ方がいいです)が一段落し、「オトメゴコロシアム」「プルコ」の「天原さん(今は浜さん。よくいろいろ言われてますが、勝負に対する姿勢は真摯ですし、「プルコ」は紛れもなくWEB上で読める競馬小説の傑作でした)」や、「モノクロームサイダー」で有名な「鯨武長之介」先生(実はまだ作品を拝見させていただいていない……。なのに、ちょいちょい拙作を読んでくださってて、頭が下がるばかりです)などが後期組としてランキング上位で猛威を振るう群雄割拠の時代でした。

 そんな中で本作は、運よくといいますか、賞レース諦めて応募作品読んでたらおかえしの評価をバカスカ貰ったといいますか(相互やんけとか無粋なこと言わない)、気がついたら三位まで上り詰めていた作品だったりします。とはいえ、申し上げた通り、筆力が伴わず「小説のようなもの」しか書けない私でございます。その後、「偏差値10の俺がい世界で知恵の勇者になれたワケ」で有名なロリバス先生の「私立ソシャゲー学園」に猛追撃され、ポロリとランキング落ち。最終選考にも残れず、とほほと気落ちしたほろ苦い思いをしました。


 まぁ、そんな訳で。いろいろな思惑渦巻く状況で評価が確立された作品ですので、うぅん、これ、どうなんだろうなと、実は長らく思っておりました。個人的には、最終章を平日の深夜に徹夜で仕上げて――しかも感極まって泣きながら――そのまま出社した――もしかすると休んだかも。なんにせよ限界の体力・精神状態で当時は書いていました――ということもあり、思い入れはあったのですが、それはそれ。冷静に見ると、まぁ、ちょっとマシくらいの作品かなという感じでしたね。

 それが、どういう経緯か、ニコニコ動画の方で紹介していただき、気づいたらあれよあれよとPVが増える増える。一日1万PVという、あり得ない挙動に、当時は驚いたものです。何気に、この一日1万PVというのはすごいことで(ランキングの上位作品では普通の挙動なのですが……)、えらいテンションになったのを覚えております。今日もえらいテンションですがね、こんなん書いてる時点で。


 結果としては、PVは回るのですが、評価の方が伴わず。ニコニコ動画の広告が消えると同時にボーナスタイムはストップ。このニコニコ砲をトリガーに、評価も伴って飛躍していく方(「美人上司」「エルフちゃん」の「七菜なな」さんとかが代表例ですよね)がちらほらいる中、ぬぅ、やはり自分はニセモノなのかと、これまた打ちのめされたりしました。


 あはは、どんだけ豆腐メンタルなんだ、私。


 ただまぁ、評価は入らずともPVはしっかりと回っている訳で。

 評価が低いにも関わらず、全話1000PV越え目前という状況まで至れた(なかなかコンテストのランキングトップ作品でもアベレージ1000PV越えするのは難しい)のは――素直に作品に力があるのかなと、そんなことを思った次第です。

 その辺りからですかね。表面的な評価は別として、あぁ、この作品はなんて愛されているんだろうか、幸せな作品なんだろうかとはっきり意識するようになったのは。いやはや、読んで貰えるというのは幸せなことです。ありがとうございます。

 ただまぁ、そんなんPVが回ったからそう思えるだけで。いっちゃなんですが現金な話なんですがね。それでもこの経験が、一つの私の行動理念には繋がっていて、評価の多寡にかかわらず、読んでくれる人が居るならば、やれるところまで続けようかと、そういう風に思うようにはなりました。

 今やってる作品なんかも、そんな心意気で続けております。本当は、「本の森のエルフ」「王都奪還物語」などもやりたいのですがね(続きを待たれている方、お待たせして本当にすみません)。そこはこちらも、無職童貞ニジ〇ラセブン状態なのでちょっとご勘弁――というか情緒酌量してください。ギルティ!!


 とまぁ、なんだかぐちぐちと書いちゃいましたが、ここいらで作品解説を。


 厨二病の弟子のあとがきでも書かせていただきましたが、私は基本、「スタンド発動したら(アイデア出たら)オラオララッシュで書きなぐる」タイプの書き手です。本作も、「女騎士ってなんであんなくっころくっころ言うんやろ。武士は食わねど高楊枝みたいなプライドからくるもんなんかな」というところから、「恥をかくくらいなら切腹する、みたいな感じで、くっころくっころ言ったら面白くねえかこれ」という着想に至り、見切り発車でGOしました。うまいこと一話目が決まり、好スタートに始まったので、んじゃまぁ続きを、と、書き続け、規定文字数(40000文字)が見えた所で、今ある設定で最大の温度差を作り出すにはどうすればいいか――と考えて、最終的にアレちゃんをごにょごにょして落としました。


 基本的に、温度差のあるオチが好きなんですよね。最初と最後で作風が180度変わるっていうのは、私の書きたいテーマとして常にあって、本作もそれに忠実に従った作品です。制限的に厳しい状況で、よくかけたかなと、泣きながら書いただけあって思ってます。この辺りは、昔「新ジャンル」で遊んでいた時の経験が、すごく強く働いたかなと。(あれも、三日で今ある材料使って落とすという、そういう遊びに近いものなので……いや、私の場合だけですが)。

 最後につなげるオチについては、どのくらいから意識していたかと言えばミミア姫(これ実はパロです。名前だけですが)を出した辺りからです。あの時点で、「この女騎士は姫について他国に行く」という、エロゲーのお約束を仕込み、では、それを悟らせずにいかに高尚――っぽいものにすることができるか、というのを考えて話を進めました。実は、「困った女ヒロイン」に振り回されるお気楽な小説というベールに包んで、そういう女騎士のメタ構造的なテーマをそれとなく仕込めるかという実験から、今作の流れは決定していきました。結構、これは他の作品でもやってたりします。ギャグ小説というのは、そういうものを求められていないのでそもそも理解されませんし、理解されてもどうなるもんでもない(評価の外にあるもの)のですからやっても仕方ないんですがね。自己満足の域に足を突っ込んだ悪癖だと思っていただければ結構です。


 二人の関係性については、まぁ、必然的に決まっていきました。どうしてこんな困った女の相手をしているのか。私だったら逃げるよな、という所を考えると、やはりアレインに人間的な魅力が必要ということになり――。まぁ、仕事はできねえけど全力で部下を守る理想の上司的なところと、深い母性が混ざり合いできあがりました。姉でもなく、母でもなく、恋人でもなく、かといってただの上司ではない。切り離せない自分の大切なもの。そう置いてしまうと、あの二人が一緒にいるのに説得力が出て、また最後の切り離しに大きな効果をもたらす。そういうことを考えると、トットが男娼に身をやつしかけた例のストーリーというのはポッと出したギャグ(これもまた、話はギャグなんだけどバックボーンはおもっくそブラックという、評価されない悪癖)だったのですが大きなキーで、いやぁ、よくこれを書いたと、後で帳尻合わせする時に、先の自分を褒めたものです。私、すごい。なんにしてもこの二人の切り離すことができない大切な関係というのを描けたのは、私にとって大きな財産であるように感じています。


 まぁ、そんな感じで、くどくどと長くなりました。


 今回、改めて一日がかりで改稿作業に臨んだのですが、いやはや、自分でもよくこれを書いたものだと、ちょっと感じました。そして、不覚にも自分の書いたもので泣きかけました。いや、うん、ちびっと泣いたと思う。だって悲しいやんこんなん。うーん、こういうものが常に出せるようになりたいものです。

 梧桐さん(梧桐彰さん。「その色の帽子を取れ」を現在連載されてますが、これ氏のIT関連の知識が総動員された傑作です。関連のお仕事している方は一読をお勧めします。「右カウンター赤道より」も相変わらずおすすめ)と「書いてて泣いた」という話をした矢先に起こった出来事なので、ちょっと感慨深いものがありますね。また、カドカワに目をつけられていて、こういうの書けと暗にプレッシャーをかけられているのかもしれません。気のせいでしょう、きっとそうでしょう。なんにしても、自分が登場人物に感情移入して書くということを、ちゃんとやれるようにならねばと思った矢先に、それを思い出す作品にスポットを当てていただいたのは、とてもありがたいです。カドカワさん、ニコニコさん、ありがとうございます。


 とまぁ、そんな訳で、数々のステマを仕込んだあとがきでした。

 最後になりますが、きっぱりと言わせていただきます。


「点数低くても、PVがあれば(読者がついてきてくれれば)いいもん!!」


 いや、書籍化はもちろんしたいんですが、大事なのはそういう所かなと。津田彷徨先生の「ネット小説家になろうクロニクル」を読んでも感じたことですが、僕は「評価の高い作品」ではなく「皆が楽しめる作品」や「場・ブーム」を作っていきたいので、ついてきてくれる読者や読んでくれる人を大切にして行きたいと、今回の件を踏まえて改めて思いました。


 という所でございます。

 いやはや、本作に続けて、こんな駄文まで読んでいただき誠にありがとうございます。これからも精進して書いていきますので、よろしければごひいきの程よろしくお願いします。しばらく、公募の方で音沙汰できそうにないですが。


 以上、katternでした。

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