冒頭モノその5

益田米村

冒頭

 ここは福井県鯖江市。この都市は今現在『ある学園』に土地の3分の1を支配されている。いや、むしろ日本全体がこの学園の影響下にあると言っても過言ではない。政治家や企業家から、研究者や職人、アイドルに至るまで、あらゆる分野の第一人者が、今やこの学園の出身者で埋め尽くされている。今の日本はこの学園が動かしていると言っても過言ではない。ゆえに、当然のことながらこの学園への入学を望む者は後を絶たない。しかし、この学園は入学から卒業に至るまで、ある条件を生徒に課している。その厳しさゆえに、50万人いる入学希望者は、入学の時点で5千人に減り、卒業に至るのは毎年わずか100人に満たない。それほどまでに厳しい『条件』。それは学力でも、資金でも、ましては家柄などでも無い。立ったひとつの単純な条件。それは、


『眼鏡が似合うこと』


男も女も生徒も教員も、この学園に属する全ての人間には、眼鏡をかけ、且つそれが似合うことが義務付けられている。そして素晴らしい『眼鏡男子』『眼鏡っ娘』になることこそが、この学園の卒業要件なのである。

眼鏡の魅力が支配する、「美しい国、日本」。その頂点に座する学園の名は、『私立眼鏡(がんきょう)学園』。そして今宵、この学園の門が開かれる。


世はまさに、大眼鏡時代!!

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冒頭モノその5 益田米村 @masudayonemura

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