間諜であることの、人知れぬ苦悩。

池田屋事件。高台寺党の離脱。武田観柳斎暗殺。
そして、油小路事件。
耳であり目である役割を課せられた斎藤一は、その渦中で、何を考えていたのか。

2004年の大河ドラマ「新選組!」を見ていました。
(その範囲外の知識はない、ともいう)
ので、どうしても当時のキャストで脳内再生されてしまいます。
しかしドラマでは感じなかった、斎藤と沖田・藤堂との「同世代感」を本作では強く感じ、それだけに、本作結末後の斎藤を想像すると心が痛む……。

観察力があり、行動に私情を挟まないからこそ、間諜として有能なのですが。
私情を挟まないからといって、私情が存在しないわけではなく。
むしろ、私情のままに行動できたほうが、どれだけ気分的には楽だったことか。

よく名前が変わる斎藤の裏に、本当に、こんな思いがあったのかもしれません。


……でも、食えないおっさん・勝海舟が一番好きだったりします。
あと、伊東さんと山南さんが仲良し、というのが何かちょっと嬉しい。

その他のおすすめレビュー

卯月さんの他のおすすめレビュー318