(28)豆まき(みづき視点)
仙太郎の部屋で豆まきをすることになった。
いや、別にやりたいとごり押ししたわけではなく、何だ、その、あやつめ、インフルエンザだの感染性胃腸炎だので長々と伏せっていたので、ここぞとばかりに豆をまき、盛大に祓ってやろうと、そう思ったのだ。
うむ、決してまいた傍から掃除機のごとく食べていく友のいそもに邪魔されず豆まきがしたかったというわけではないぞ。
「さあ、まくぞ! 仙太郎よ!」
「ああああああ! みづきさんそんな鷲掴みにしないで! 外は一ヶ所三粒まで!」
「……そ、そうか」
まぁ、確かに共同住宅であるから、あまり散らかすのはよくないな。
「大きな声も厳禁だよ」
「わ、わかっている、お、鬼は外……」
――気を取り直して。部屋のなかはよいだろう。
「みづきさんダメー!」
「な……」
「そんなにまいたら掃除大変だよ! なかは一ヶ所一粒ずつ!」
仙太郎……、お前、人間小さいぞ。
「はい、まいてー」
「ふ、福は、内……」
祓えたのか、鬼。
来るのか、福。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます