(28)豆まき(みづき視点)

 仙太郎の部屋で豆まきをすることになった。

 いや、別にやりたいとごり押ししたわけではなく、何だ、その、あやつめ、インフルエンザだの感染性胃腸炎だので長々と伏せっていたので、ここぞとばかりに豆をまき、盛大に祓ってやろうと、そう思ったのだ。

 うむ、決してまいた傍から掃除機のごとく食べていく友のいそもに邪魔されず豆まきがしたかったというわけではないぞ。

「さあ、まくぞ! 仙太郎よ!」

「ああああああ! みづきさんそんな鷲掴みにしないで! 外は一ヶ所三粒まで!」

「……そ、そうか」

 まぁ、確かに共同住宅であるから、あまり散らかすのはよくないな。

「大きな声も厳禁だよ」

「わ、わかっている、お、鬼は外……」


 ――気を取り直して。部屋のなかはよいだろう。

「みづきさんダメー!」

「な……」

「そんなにまいたら掃除大変だよ! なかは一ヶ所一粒ずつ!」

 仙太郎……、お前、人間小さいぞ。

「はい、まいてー」

「ふ、福は、内……」


 祓えたのか、鬼。

 来るのか、福。

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