(23)同世代

 みづきさんたっての希望で一緒に箱根駅伝を見た。

 東京箱根間往復大学駅伝競走――東京大手町から箱根芦ノ湖まで、往復二百キロ以上を二日がかりで十人で走り繋ぐ。

 テレビの向こうの走者を見、ぼくはふと息をつく。

「みんなすごいよねぇ。ぼくと同世代って信じられないや」

「……」

「……?」

「……何?」

「……何、って?」

 見る見るうちに険しくなっていくみづきさんの表情に、何かまずいことを言っただろうかと首を傾げる。

 と、

「……仙太郎」

「は、はい……?」

「私は今年、お前を若々しく、かつ力いっぱい鍛えることに決めた」

「え?」

 よ、よくわからないけれども、ぼくはみづきさんのやる気を変な方向に刺激してしまったようだ。


「明日から毎朝走れ! 仙太郎!」

「ええ!?」

「口答えは許さん!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る