第五夜 キャンプに悪魔がやってくる

「そろそろ出発しないと間に合わないぞー!」

翌早朝、玄関先でボクはアリスを急き立てた。


「直ぐ着きますから慌てなくても大丈夫ですよぅ!」


「なんで?」


「キャンプ場までのゲートを開きますから☆」


「なんだとぉ?」


「家からキャンプまでの超近道ですぅ♪」


「それキャンプの醍醐味半減じゃない?」

キャンプは行くまでの道すがらが一番楽しいというのに。


「お楽しみはキャンプファイアーで生け贄の黒山羊の首を刎ねるところですから☆」


「黒ミサか!やらないよサマーキャンプでは!」

意味が解らない。


「ワイン飲み放題で歌えや踊れやは?」


「地域の児童が中心の自治会が主催だぞ。やるわけねーだろ?やってオリエンテーリングとかだな。」


「いたいけな子どもを人里離れた山奥に置き去りにしてくるというアレですね!」


「それ今一番やっちゃいけないヤツだ!」

今は2016年6月6日6時6分6秒だ。

ああ、なんだか厭な予感しかしてこない。


「なんだかつまんなそう★」


「一体何を期待してたんだよ?」


「サタン様が降臨して皆が崇め奉る儀式DEATH」


「サバトとサマーキャンプを混同するんじゃない!!」


「じゃあサバト行きたい☆」


「うちの自治会ではやりません!!頼んでも絶対やってくれない!」


「ちぇー!つまんないの★」


「コラーッ!せっかく準備したんだから、文句言わずにさっさと行くぞ!何処だ、そのゲートやらは?」

ボクはアリスを急かした。


「トイレの便器です☆」


「いやだーー!もっと他の入り口あるだろぉ!?押入れとかさ、机の引き出しとかさ?!」


「著作権的にNG DEATH★」


「魔獣のクセにかたいこと言うな!」


「運営会社に怒られちゃいますから★」


「リアルだなおい!他にだって洗濯機とか冷蔵庫とか選択肢はあるだろ?」


「座標的にワープ出来るのは便器だけなのん♪」

またまたつれないことを言う。


「マジかーーっ!あー、もう電車じゃ間に合わないし。行くしかないのか。俺ついさっきウ◯コしたばっかなのに!」


「あたしもあたしも♪」


「やかましいわ!」


「さぁご主人たま出発進行ぉ☆」


「うわぁマジにワープホール開いてるし!まさか天国とかに行かないだろうなコレ?」


「地獄へなら行けますよ☆」


「結構DEATH!!」


アリスは厭がるボクを無理矢理便器へと引きずり込んだ。楽しいサマーキャンプの始まり始まり・・・なのか?




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