秘密組織

 周囲の木々や草の茂み、凹凸の多い岩地やぬかるみのある湿地を部下たちが懸命に捜索している。ヘリでここに着いてからまだそう時間は経ってない。すでに山の入り口付近では地上部隊によって規制線を敷いて部外者の立ち入りを禁止しておいた。それも、我々組織だけが知る秘密のためだ··。

「隊長!残骸を見つけました!」一人の隊員が大声を張り上げた。

「今行く。」

草をかき分け声を放った場所まで行くと、思わず目を疑った。

半透明でボールほどの大きさの欠片。地面に衝突した痕跡が残っている。

「透明なのか?··報告では聞いていたがまさか本当とは」

「ええ、思わず見逃すところでしたが光沢に気付き発見しました。」

「よくやった。引き続き周囲の捜索を続けてくれ。」

素晴らしい技術だ。彼らの持つ技術レベルは想像以上のものだ。いくつかの資料で知識は得ていたが実際目にするのでは感覚の捉え方が違ってくる。ステルス技術以外にも動力のエネルギー源、次元を超え移動するテクノロジー、極めつけが惑星をも破壊する軍事技術。彼らの前では人間など無力な存在でしかない。アメリカやロシアが束になろうとも。

 携帯を取りだし本部に繋いだ。

「私です。ええ、無事見つけました。報告の通りです。はい画像をそちらに転送します。」

相手はくぐもった声ながらも興奮している様子が伺える。

「よくやった。佐渡隊長。例の生命体は見つかりそうか?」

「はい、残骸がありましたから周囲にいるはずです。」

「見つけたらすぐ報告してくれ··決して傷付けるな。彼らは重要な存在だ。」

「了解です。」

携帯を直し、自分も捜索に加わろうと思った。体を動かさずにはいられない。それに今がチャンスだ··

「宇賀副隊長、基地で指揮を頼む。私は周囲を見回ってくる。じっとしていられんよ。」

「了解です。本部から指令が入れば随時隊長に連絡します。」

「ああ、頼んだ。」

しばらく歩いて草地まで行くと無線機を放り捨てた。

さあ、一仕事だ。無線など要らない。あれは私のものだ··

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