第16話 ▲禁断の地・アヴァロン島/天然要塞キャメロット

 潜水艦サーペント号は、ツーオイ石の「眼」が届かない深海を潜行しながら、用心深く海上へと浮き上がった。クリスタル・ピラミッド・デバイスで太陽エネルギーを吸収するためだ。サーペントの操舵士はマリス・ヴェスタだった。他に適任者は居ない。途端、天空からレーザー砲が撃ち込まれ、海面が爆発した。空爆を仕掛けてきたのは、雲間から現れたマカラー艦だった。

「見張っていやがったか! とっとと潜行しろ」

 アルコンは操縦しているマリスに命じた。

 しばらく海上に船体を浮かばせていないと充電が完了しないが、七十五パーセント充電しただけで再び深く沈んで潜行した。四機確認されたマカラー艦に潜水能力はない。敵のレーザーは海水に阻まれ、深海までは届かない。サーペント号は水中深く潜行を開始する。そのマカラー艦隊を追うように現れた、巨大なラムリザード号が海面に降下してくる。首都防衛の要、最終防衛ライン。ラムダ大佐の旗艦は水空両用なのだ。

「ラムダ、しつこい奴! だから嫌いなんだよッ」

 ヱメラリーダが、モニターで、こちらよりおよそ十倍の大きさのラムリザード号を睨んで毒づく。超鯨級戦艦と鯱級では勝負にならない。背後からラムリザードの放つ稲光のような大出力レーザーが襲ってきた。これは一定の距離を保ては辛うじて被害を防げた。

「問題は……」

 ラムリザード号は水中でも攻撃可能な強力な音響兵器を保有している。ただ「音」は、水の中で四方八方に広がる性質のため、音波兵器の衝撃は著しい環境破壊を周辺海域にもたらす。魚類が死屍累々となって海面に浮き上がるのだ。アヴァランギの猟師にとっては歓迎されざる行為だった。だがラムリザード号はそんなことにおかまいなしに数度に渡って音波兵器を撃ってきた。激しい衝撃がサーペント号を打ちのめす。直撃を何度も食らえば船体はバラバラになるだろう。

「相手は巨体だ、岩礁の間を縫って巻くぞ」

 小回りのきくサーペント号は、アヴァランギ大島近海の岩礁群に突入した。そこは座礁の恐れがある海として有名だった。

「気配が消えたわね……」

 岩礁が終わる頃、海は、後ろから迫る圧迫感から解放されていた。まだ船体はミシミシと音を立てている。マリスは各種計器をくまなく調べ、ヱメラリーダなどアデプト能力を持つ者は全身の神経を研ぎ澄ます。海は沈黙を取り戻した。

「違う、空へと上がったんだ!」

 アルコンが叫んだとたん、前方から激しい波しぶきを巻き上げてラムリザードが空からダイブしてきた。

「これ以上接近させるな、敵の重力波兵器に捕まるぞ!」

 ラムリザードには強力な半重力装置がついている。アリーナで大量の土砂を空中高く巻き上げた魔術兵器である。鯱級サーペント号程度では、空中に吊り上げることも可能だろう。だから直接的な対決は避け、アウトレンジ戦法で反撃するしかない。だが、ここは逃げるが得策だ。

「やむをえん、旧市街地海域に向かえ」

 そこは岩礁以上に危険な海域である。サーペント号は八百年前に水没した都市の合間を抜けていった。いつ崩れるか分からない巨大な建物郡が海底に建っている。こんなところで音波兵器で襲われれば、建物はあっという間に崩れて、その下敷きになるだろう。その懸念もつかの間、ラムリザード号の音波兵器の衝撃が周辺海域を呑み込んだ。衝撃をビリビリと全身に受けたサーペント号は、海中で崩れる巨大な摩天楼を避け、粉塵と共にT字に左へと船体を逸らした。

 サーペント号は巨大な昆布の林立する海の中を音もなく静かに進んでいた。数キロ四方に渡って巨大昆布のジャングルとなっている海では、もはや相手からは右も左も分からず、追跡は不可能である。昆布に救われたサーペント号は、いつの間にか相手を引き離し、深海へと潜行していった。一行はほっとして船に積んであったアトランティス・バナナをもぎって分け合う。これから向かう場所で、このバナナにありつける保証はなかった。

「大した操縦だったな」

 ヱメラリーダはバナナを渡しながらマリス・ヴェスタをねぎらう。

「あたしはこっちさ」

 そういって自分はリンゴをかじる。

「お前本当はさ、……空飛べるんだろ?」

「……」

「そうでなきゃあんなすぐに覚えられるわけないよな」


紀元前八〇八七年九月五日


 サーペント号は、大きく迂回しアクロポリスのあるアヴァランギ大島から遠く離れた海域まで来ると、再び海上に姿を現した。目の前は濃霧で視界ゼロだった。充電のためでもあったが太陽の光は弱々しく、船は浮上したまま霧の中を進んでいく。やがて霧の中から島が出現した。

「オージン卿、まさか禁断の島とはな。本当に大丈夫なのか?」

 再びテレパシー通信を回復したアルコンは、先に「島」に到着しているオージンと連絡を取る。

「もちろんだ」

 サーペント号は事前にプログラムされたクリスタル・ナビの通りに島へとたどり着いた訳だが、そこはアルコンが予想したあらゆる場所と異なっていた。

「一体いつ、卿はハイランダー族と協定を結んだんだ?」

「私の古くからの友人だ。諸君には言ってなかったがな。ここならシャフトの管轄外だろう」

「それはそうだが……」

 そこは禁断の島として他のアトランティス人から避けられているアヴァロン島である。アヴァロンとはアトランティスの古名であり、アヴァランギも同じ言葉の別の発音であると言われている。この島は、独自の魔術の結界が張ってあり、それはアトランティス・シャフトの魔術体系には存在しない古代のもので、未知の部分が多かった。そのため、シャフトのマギ達はこの島を禁断の地として立ち入りを禁じていた。一説にはアヴァロンの住人であるハイランダー族と不侵条約を結んだとも言われている。一体オージンはどこまで人脈を持っているのだろうとアルコンは考える。理想郷、あるいは死者の国とか不死の国とか色々な噂があるこの島に、上陸して本当に危険はないのか、不安がよぎる。

 だが、島影がはっきりし出すと、アルコンは眉をひそめた。

「ン? どうかしたの?」

「実はニヴルヘイムでオージン卿と通信したとき、送られてきた画像があるんだが」

 アルコンの手にあるクリスタルデバイスに、六枚の写真が映し出された。

「ラビュリントスのホールには、六枚の絵が掲げられていた。ホールの絵の一枚はアヴァロン島だ。もしかすると、マーリンは何千年も前に、我々がラビュリントスを訪れ、さらにここアヴァロンへ来る事を知っていたのかもな」

 姫救出後にオージン卿が送ってきたのは、この画像だけだった。まるで、ラビュリントスに自分たちの今後の行く末が記されているような画像で、その神秘を感じたオージン卿が送ってきたものと思われる。それとも、全てはオージン卿の計らいだったのか。

「だとしたら後の風景画の意味も気になるわね」

 ヱメラリーダもアルコンのアイデアが気に入ったらしい。

「あぁ……」

 六つの絵のうち、他の五枚の画像を眺めても意味するところは不明だ。

 港付近には巨大なステラーカイギュウが群生していて、のどかな雰囲気を醸し出している。それぞれ優に全長十メートルはある。

 サーペント号は山々に囲まれた渓谷へと入っていった。潜水艦は中世の雰囲気を農耕に残したデッキへと到着すると、無人の港にはすでに数台のロードマスターが待機していた。意外な事に、どれも銀色に輝く車体の、アヴァランギ本島で最新のスタイルの車だ。レジスタンスはロードマスターに分乗し、渓谷の奥へと進んでいく。その景色はまさに秘境と呼ぶにふさわしい。やがて白亜の大邸宅が姿を現した。ロード・オージンが協定を結んだというハイランダー族の城は、天然の要塞の中にそびえ立っていた。鳥のさえずり、美しい自然と平和だけが支配するキャメロット城。ここは、戦場と化し、市街戦で焼けただれたアクロポリスとはまるで別世界だ。緑に囲まれた大邸宅に、メンバーを乗せたロードマスターが到着すると、オージン卿が出迎えた。ハイランダー族の出迎えはなかった。鳥のさえずり以外は何も聴こえない静寂な館だ。

 それにしても全く奇妙な城だった。キャメロット城は、円と楕円、それに尖塔を組み合わせた建物である。ハイランダー族が建てたこの城は、オージンによると伝説の太陽帝国ラ・レミューリアの超魔術の粋を結集した建築技術を再現したものらしい。ラ・レミューリアは「死霊の国」などと言われる南洋の失われた大陸である。全てが白く塗装された三階建ての城の中央にはホールがあり、そこにある光差す中庭の泉から外の庭まで、小川が続いている。卿によると中庭は「輝きの庭」と呼ばれているらしい。


 ハイランダー族はアトランティスの中で、シャフトの反乱に対し不干渉、首都アクロポリスのごたごたと一切無縁の存在のはずだったが、実はオージンの関係者であり、はっきりレジスタンスに協力すると明言したらしい。そこでアルコンが館主に挨拶をしたいと言うと、オージン卿は首を横に振った。

「彼らは館を提供してくれたが、それ以上の協力はしない」

 大貴族はそう言ったが、何だか不思議な話ではないか。その表情から、アルコンは何か理由があるらしい事を察した。決して詮索してはならない秘密がこの館にはあるのだ。それ以上訊ける雰囲気ではないので、アルコンは黙るしかなかった。

 マリス・ヴェスタも城内に眼を奪われていた。この館はハイランダー族による特殊な魔術の結晶といってよい。それも、マリスがあずかり知らない魔術体系のものだ。巨大な城には、レジスタンス活動に必要な武器や装備や食料などの備蓄が揃っていた。たとえここで籠城戦になっても一カ月は持ちこたえられるはずだ。

 オージンはこの城の象徴たる楕円の円卓のある大広間に、レジスタンス全員を集めた。大広間のドーム状の天井にある、色とりどりのクリスタルによるステンドグラスが柔らかい淡い虹色で部屋を照らしている。そのステンドグラスをよく見ると、ルーン文字や魔術のパターンが細かく配置されている。アンク・卍・十字・五芒星・六芒星。それ以外の未知の図形。それらのまじないが施された光を浴び、ここに居るだけで、ピラミッドの中にいるのと同様にヴリルが満たされていくのが分かった。この城は神聖な寺院でもあり、中で佇んでいるだけで敬虔な気持ちが湧きあがってくるのだった。

 アルコンは円卓についたメンバー達を見渡してつぶやいた。

「たったこれだけか。あんなにいたのに、たったこれだけしか残らなかったとはな」

 無事アクロポリスを脱したレジスタンスは、姫を救えた喜びはあったもののアルコンは無残な現状に落胆するしかない。妻・クラリーヌの形見となった暁の薔薇剣を眺める。

「そうだよ。今やあたし達だけしかいないんだよ……」

 ヱメラリーダは、滅亡した情熱党の面々を思い出しながら応じた。皇帝存命の時代、王党派は数十万の大勢力だった。民衆はほぼ帝の支持者といってよかった。今と違い、マギルドに対し様々な問題点が指摘され、共通認識になっていた。社会の中枢のシャフトだけが取り残されていた状況だったと云ってもよい。あれが本当の革命の始まりだった。その中で情熱党という急先鋒のグループの計画は、ずっと以前から存在したものであり、実際九割成功していたのだ、そう言ってよかった。もちろん、シャフトは腐敗しきっていたと云っても絶大な権力を持つピラミッド型官僚機構マギルドの頂点だ。腐っても鯛、この国を長らく支配してきた事は間違いがない。そのシャフトが遂に暴発し、革命家皇帝をクーデターで皇帝一族ともども処刑し、千人で蜂起した内戦でもレジスタンスは殺され、逮捕されて、とうとうここまで逃げ伸びたのが、姫を含めてわずか二十五人しかいない。これで、一体どうやってあのシクトゥス4D議長率いるシャフトと戦えるというのか。すると、重い雰囲気を打ち破るようにヱメラリーダが微笑んで言った。

「なんだかあたし、この中に昔見たような顔がチラホラあるような気がするよ。ステージから見た、情熱党のファン組織の中にさ」

 ヱメラリーダがふと言うと、インディックがうれしそうに答える。

「実は僕も末端ながら情熱党の一員だったんだ。こうしてヱメラリーダと直接話ができて、腕の治療にも関われるなんて、本当に光栄ですね。嫌な時代にめぐり合わせたと思ったけど、それだけは幸いです」

 すると数人が口々に、元ワルキューレの所属地域や地位を名乗り出した。数を減らしたものの、ちょっとした同窓会の様相を呈していた。

 禁断のアヴァロン島に、このようなレジスタンスの拠点が存在した事に感心しつつ、マリス・ヴェスタは驚くしかなかった。

(まさか。本当にたったこれだけなのか?)

 マリスは結局確信した。カンディヌスは用心深くレジスタンスが強大な勢力だなどと言ったが、反乱軍の中枢は、実際には二十五~六人しかいなかったのだ。彼らの言葉に偽りはない。やはり最初の市街戦で、相当の人数が逮捕され、殺され、後に残ったものは組織化されない市民によるゲリラ戦に過ぎない。もはや、この城に立てこもったグループが全てである。ところが、ハウザー長官率いるシャフト保安省はこの彼らに見事に踊らされ、翻弄されている。レジスタンスの大将アルコン・ペンドラゴンはそれを、あたかも大組織に見せかけてきたのだ。もしこれが、全て合わせても三十人に満たないなどとシャフト評議会にばれたら、アクロポリスのアジトを発見した時点でレジスタンスの中枢を一網打尽にし、あっさりとシャフトは勝利できたはずだった。全くとんでもない連中であり、アルコンはある意味で天才的策士といえるかもしれない。

 だが、アヴァランギ本土から遥かに離れた新しいアジトまでは発見できたかどうかは分からなかった。今、この城には確実に姫が居るはずだ。姫を取り戻さなくては、シャフトの完全勝利とはいえない。つまり、カンディヌスは正しかったのだ。

「くそっ、シクトゥスめ! あんな俗物を長い事放置していた結果がこれだ。アトランティス人は平和ボケし、全員危機意識が足りなかった」

 ライダーが突然、拳をテーブルに叩きつけた。

「しかし、これから奴とどう戦う?」

 オージン卿が訊く。

「駄目だ……。他の事はともかくも、あのクリスタル神殿を奪われてはな。アクロポリスを脱出できた所で……あれを取られては、もうおしまいだ。こいつを使うチャンスは永遠に失われた!」

 アルコンは円卓上においたヱクスカリバーを見て言った。それはパステル光を受けて茜色に輝き、角度によって虹色の光を放っている。

 シクトゥスがクーデターを起こしたのは、やはり太陽神殿(ピラミッド)の水晶炉(クリスタル・リアクター)のツーオイ石を奪う事が目的だったと考えられた。そして敵はすでにその目的を達成した。こちらは圧倒的に少数であり、向こうは大帝国を動かすアトランティス・シャフト評議会。あまりに非力だという他ない。

「二十五人では数十万のマギルドには到底勝てん」

「こっちが十分な戦力を回復するのに、最低一年はかかる。だが、その間に奴らがクリスタル・リアクターを暴走させたら、ここでのんびり捲土重来の暇などないぞ」

「……じゃ奇跡を待つか?」

 両足を机の上に投げ出したアルコンは人事のようにつぶやいた。別に投げやりになっているのではなく、上の空で真剣に考えているのだ。

「何言ってるんだ、ちょ、ちょっと待ってよ。ここにワルキューレのメンバーが二人も生き残ってるんだよ! アマネセル姫とあたしと。それを忘れてもらっちゃ困る。姫をリーダーとした情熱党の計画は、姫さえいれば挽回できるんだ。もう他人任せ、運任せなんかしてられっか。全部ここに居る自分たちだけでやるんだ。いいよね? 隊長。こうなったらあたし達だけでツーオイ石を奪還するんだよ」

 参謀長ヱメラリーダの情熱はこの期に及んでも衰えるどころか、全く衰えず、ますます勢いを増しているようだった。確かにアクロポリスに閉じ込められた時よりも、状況はましだと言えるかもしれない。

「そんなこと簡単に言うけどな。これ以上、姫を危険にさらすというのか? 命がけで救出したのも奇跡だというのに、またアクロポリスに戻るなんて自殺行為だ」

 アルコンはヱメラリーダをたしなめた。

「確かにな」

 今や人間だけでなく動物までも逃げ出すアクロポリスである。

「我々としては、陛下の教義を絶やすわけにはいかない。そして姫のお命も。たった二十五人しかいないのだ。たとえ一人でも欠けたらその損害は大きい。ここはアトランティスを諦めて、移住組の先発隊を追って、外国へ逃亡するのが聡明だと思う」

 元警備隊長のカーンがそう言い、ピラミッド設計士のカビュロスが賛同する。

「ならいっそ、西南の大陸の、黄金卿エル・ドラドにでも行くか? そこで捲土重来を目指そう」

「エル・ドラドなんて本当に信じてるのか? 行くならシウダー・ブランカ(白い街)だろ」

 中南米のその白い街は、「カカオの実る所」とも呼ばれる都市だ。シウダー・ブランカは太平洋のムー人の生き残り達が発展させた都市で、すでにアトランティス各地の脱出組がそこへ向かったという情報が入っていた。後にアトランティス人達はそこを拠点に高度なマヤ文明を発展させる事になる。その痕跡が、遺跡の剃刀一枚入らない石組である。それは特殊な薬草で石を柔らかくした後、刃物で寒天のように斬り、音の力で反重量を生じさせ石を組んでいく。話がシウダー・ブランカでチョコを食べようとか曲がり始めた。菓子職人ドシスの作るチョコは最高だとか。チョコレートは、アマネセル姫の好物である。

「隊長、あんたもどう思ってるのか言いなさいよ。まさか白ひげが生えるまでこの島に居るつもりじゃないでしょうねェ?」

 話の流れにしびれを切らしたヱメラリーダが詰め寄る。

「……」

 すると今度はジョシュア・ライダーが身を乗り出してアルコンと正対する。

「俺たちの居場所はアクロポリスだ。ツーオイ石を奴らの手から奪い返す。俺もヱメラリーダの考えに同感だ。……それしかないはずだ、アルコン隊長!」

 ライダーはアルコンの返事を待って睨んだまま、動かない。

「全く頼もしい仲間達を得たものだ、私は」

 アルコンは足をしまって返事した。確かにカーンらの言う事も一理ある。もし戦うにしても相当厳しい状況である事に違いはない。半分呆れつつ、遂に苦笑した。

「オージン卿のご意見は?」

 アルコンは左隣りの大貴族を見た。

「いいだろう。皆がそのつもりならば。ただしその前に」

 さっきから沈痛な表情のまま黙っていたオージンだが、重々しい口調で何かを切り出そうとしている。

「皆、実はこの場でぜひ聞いてほしい話がある」

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