第5話 授業はあります

 


 ピンポンパンポン



 放送のチャイムが鳴り響く。平和時の。

『次は中断していた三限から十分間の休憩を挟みながら六限まで授業を再開します。二時半から開始しますので皆さん準備しましょう』


 食堂では大ブーイングが巻き起こる。消えると期待した授業は消えない。まあ、消えたことなどないんだけれど。皆も期待してないけど希望を伝えてるだけだ。

昔は放課後をスポーツをしたりして過ごしていたみたいだけど、通常に戻したのは授業だけで、スポーツは体力作りの為に体育の授業がある程度だ。まあ戦闘員は訓練所で別にさらに鍛えられるんだけど。

 それに校庭はそんな場所として使ってないし、体育館は体育の時と体育館の地下のシェルターに行く手前の混雑を避ける一時避難所なんだから。

 なので、いくら戦闘になっても授業時間を削られることはまずない。足りなくなった時間は放課後の時間を割り当てるだけで済むことだから。


 昔、毎日が戦闘だけだった時代に知的水準が下がりすぎ、奴らに対抗できない限界ギリギリまできてしまった。それで今のこの形態になった。父も母も祖父母も、もう俺達と同じこの日常生活と戦闘を続けている。マウス襲来で全国、全世界ちきゅうが破壊状態になって、ここまで持ち直す為に多くの犠牲と努力が積み重ねあげられた。この今の状態に戻すというか再建することも一人一人の努力の結晶のようなものだった。



 教室に入る。警報直後、出て行った時のままである。

 青山先生が入ってきて授業が再開した。

 授業中、青山先生ずっとこっちをチェックしている。寝ません! 寝ませんよ!



 こうして今日も無事に終わる。


 いったいやつらは何者でなぜこちらを攻撃するのか。あれだけの数の兵器を持ちながらなぜランダムに世界中ちきゅうを攻撃するのか。最初の攻撃の時に一度に一斉攻撃すれば地球上からすべての村が街が都市が国が全世界ちきゅうが消えていただろう。なのになぜこんな瀬戸際な戦いをもう百五十年以上続けているんだろうか。



「ただいまー!」

「おかえり」

 家に入ると母はチラリと俺を確認し安心した顔をする。一応戦闘員、正規戦闘員、は戦闘終了の際に家族に安否のメッセージが届く。他の非戦闘員よりも安全確認しやすいが、母はやはり自分の目で確かめないと心配みたいだ。

 最近の戦闘はより相手を知り尽くしてセイヴァーの性能も戦闘員のトレーニングで培われた努力の賜物である戦闘技術もマウス対策に特化してるためにほとんど戦死者は出ない。

 マウスを逃す事も少なくなり被害もほとんど出てない。マウスは戦闘機を相手にしている時逃げたりまたはどこかに行くって行動は取らない。こちらへ攻撃して撃墜して進路が空くと街への攻撃に移るみたいだ。

 マウスの中身が無人だからだろう。考えて行動してるとは思えない。プログラミングされてるとしか思えない攻撃の仕方だ。最後の一機になっても決して逃げたりしない。例え退路があっても引き戻ったりしない。撃墜され尽くすまで攻撃して街を破壊し尽くす。



 自分の部屋に入りそのままベットに腰掛けたら寝ていたようだ。母にゆすられて起こされた。晩ご飯の前に風呂に入ろうと思ってたのに記憶が全くなくなってる。


 今日はもう、いや朝まで無線が入りませんように! 正規戦闘員に学校外での所持を義務付けられている無線機を枕元に置き、いつものように眠る。

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