29 お風呂・詰め替えボトル①・詰め替えボトル②

【お風呂】


 五月家の家計はギリギリです。

「節約のために、お風呂の水替えは週に一度なのでございます」

 先に体を洗ってから、湯船に入るのです。


「五月様ぁ、お風呂湧いたですよぉ〜」

「ほーい。今夜は新しいお湯〜♪」

 パカッ……。

 五月先生、夕飯前にゆっくりお風呂、ウキウキで蓋を開けると……。


「カラッポ……」

 お湯がありません。

 空焚きで火事にならずに良かったです。


「センをし忘れたようでございます……」

「罰として、夕飯は半分」

「あい……」

 きゅるるる




【詰め替えボトル①】


 メイドさん、ふと思い出しました。

「そういえば、リンスが空っぽでございました!」


 浴室へ行って確かめてみると、リンスのボトルには中身が入っていました。

「ほにょ? 五月様が詰め替えてくださったようです」


 メイドさん、お風呂タイムです。

「さて、リンス」

 アワアワ、アワアワ……。

 泡立ってしまいました。


「わたくしとしたことが……またシャンプーしてしまいました」

 アワアワ……。

「ゴ、ゴガツンめ……」

 五月先生、中身間違えちゃったみたいです。




【詰め替えボトル②】


「五月様、詰め替えのボトル間違えてましたよ!」

 お風呂から上がったメイドさん、五月先生に物申すです。


「そうか……それはすまん」

 五月先生、素直に謝ります。

「五月様はいつもそうでございますよ」

 メイドさん、あんまりお小言は言わないほうがいいですよ。


「詰めが甘いのです。クドクド……」

「お前が仕事してないからだ」

 そらきた。


「たまに手ぇ抜くんだよなぁ、お前。クドクド……」

 だから……。

「ヤブヘビでした……」

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