【6日目】


 確かに、アレだけの大騒ぎをすれば、お尋ね者にもなるでしょうねぇ。

 ということで、僕らは、彼女の第二の隠れ家へと移動することになった。


「はぁ、男に戻っても隠れて住まなきゃいけないのか」

「あははー、ゴメンね。ちょっとやりすぎたかも。でも、数ヶ月の我慢だから」


 マリーナは明るい口調で謝るので、全然悪いと思ってないように聞こえる。


「数ヶ月という根拠は?」

「連れて行かれる日に国の中枢機関に、手紙を出したの。区長の汚職のことをしたためてね」

「あー、なるほど。だから数ヶ月。書斎で仕事をしていたのもソレを書いていたんだね」

「ごめいとーう」


 ニッコリと笑う彼女。そういうことが思いつくのも、彼女の頭が柔らかいからだろう。

 恐らく、中枢機関が区長の汚職を暴き、数ヵ月後には、僕たちの顔を覚えている奴なんて居なくなるだろう。ソレまでの我慢だ。


「さぁて、そろそろ着くよ。今度は、どんな男装で行こうかなぁ?」

「イケメンはやめといた方がいいよ? あの区長みたいな奴だと困るし」

「確かに」


 僕たちは笑いながら、隠れ家へと向かう。

 いつか、男性も女性も皆平等に笑いあえる。そんな世界を夢見ながら……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

マジョ×KISS=ミラクル 黒幕横丁 @kuromaku125

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ