第12話 波乱の予感


高宮くんを七夕祭りに誘うと決めた私。


でも


さすがの鈍ちんな高宮くんも私が誘ったら何か思うのかな?


「げっ!陸斗、1位かよ。全く勉強してなかったよな?お前」


「ん。勉強面倒くさい」


「天才型だな、お前マジで」


期末試験が終わった。


私達は順位表を見る。


高宮くんが1位で私が2位、



良かった、お母さんに怒られはしないな。


「つーか何で綾斗も7位!?何なの!?お前ら」


「あたしはできる女だから!ユイユイはー?」


「き、聞くなぁ!」


姫島くん、悪かったんだなぁ。


「くそ。俺だけ補習かよ!」


「ユイユイ、もっと勉強頑張らないとね」


すると


「何故この俺が補習枠に!?」


ん?


桜小路くんが肩を落としていた。


「桜小路、てめぇ陸斗と勝負してたんだよな?」


姫島くんが桜小路くんに聞く。


「そうだ!きっと教師の陰謀だ。俺に嫉妬して・・・」


「現実を受け入れろ、クソガキ共」


あ・・・


2人の間にあの人が話に入ってきた。


鬼島先生だ!


鬼島先生はうちの学校の数学の先生。


B組の担任で生活指導をしている名前通り厳しい先生。


いつも髪型をオールバックにしていて眼鏡をしており、かっちりとしたスーツを着ている。


「お、鬼島・・・」


「姫島結斗、桜小路雅。2人には補習量倍にした方が良さそうだな?」


「マジ勘弁してくれよ」


「先生、俺は演劇部が」


「うるせぇ。お前らに拒否権は無い」


鬼島先生は眼鏡をくいっと持ち上げ、言った。


「あ、忘れてた!鬼島先生ぃ!皆で作った部誌渡しますね」


綾ちゃんはいきなり鬼島先生に部誌を渡した。


えっ!


綾ちゃんの描いたBL漫画もあるのに先生に渡すの!?


「あ、綾ちゃん!鬼島先生に渡したら・・・」


「大丈夫よぉ!鬼島先生は創作研究部の顧問だから」


「えっ!?」


そういえば、顧問の先生誰か知らなかったなぁ、私。


「挨拶が遅れた。改めて鬼島だ。創作研究部の顧問だ。宜しく頼む」


鬼島先生はにっと笑って言った。


「鬼島かよ、顧問・・・」


「鬼島先生が創作研究部の顧問・・・」


でも、意外だなぁ。


かなり厳しくて有名な鬼島先生が創作研究部みたいな変わった部活の顧問をしてくださるなんて。


「皆、心配しないで!鬼島先生は・・・」


「高宮くん、今回の期末試験・・・よく頑張った。流石だ」


鬼島先生はいきなり高宮くんの手を取り、言った。


「鬼島先生はゲイなのよ。あたしみたいにオネエではないけど」


えぇっ!?


「そ、そうなの?」


「だから、あたしの描いたBLも大丈夫だし・・・陸斗がいる部活だって言ったら即顧問になってくれたわ」


高宮くんがお気に入りなの!?


「バカ言え。橘。俺は高宮くんを恋愛対象として見てはいない。教師という立場をわきまえているぞ。ただ可愛いと思っているだけだ」


やっぱり創作研究部に関わる人は変人だらけなんですね。


「ゆ、結斗・・・」


高宮くんは鬼島先生に警戒したのか、姫島くんの後ろに隠れる。


「ははは。可愛いな、高宮くんは」


高宮くんって本当に人気者なんだなぁ。


姫島くん、桜小路くんだけでなく鬼島先生にまで。


「さーて、姫島、桜小路。今日の放課後は覚悟しとけよ?楽しい楽しい補習の時間が待っている」


鬼島先生は意地悪な笑みを浮かべて姫島くんと桜小路くんに言った。


2人とも、本気で怖がってる!!


大丈夫かな??



「おっはよん!蜜葉ちゃん」


「あ、優里香ちゃん!おは・・・」


あっ!


教室に行くと、優里香ちゃんが私に挨拶をしてきた。


だけど


「優里香ちゃん、髪型!」


優里香ちゃんのかなり短かった髪が肩までついてミディアムに。


「これ、エクステだよ!イメチェンしてみた!」


「可愛い、優里香ちゃん!!」


「ありがとう、蜜葉ちゃん!!」


「でも、何故急に?」


「さ、桜小路の為」


えっ?


「桜小路くんの?」


「そ。男子と話してるの聞いたんだ。あいつ、長い髪の女の子が好きって言ってた。あたし、短くてボーイッシュすぎたからさ!イメチェンした!打倒有村!」


「有村??」


「あいつが好きな女優!」


頑張ってるんだな、優里香ちゃん。


「やっぱり好きな人には可愛いって思われたいよね」


「うん!!」


私ももっと可愛くなりたいなぁ。


高宮くんってどんな女の子にドキッとするのかな。


「そういえば、言われてたあれ!持って来たよ」


「ありがとう!優里香ちゃん」


優里香ちゃんは鞄から卒業アルバムを出した。


「中学の時の!」


「わあ!見るの楽しみ」


中学時代の皆かぁ。


私は優里香ちゃん達の中学の卒業アルバムを見る。


「わっ!姫島くん相変わらずなんだね」


金髪・・・。


「そ。めっちゃ派手でしょ?で、綾斗がこれ」


あ、綾ちゃん髪が今より短い。


「綾ちゃん、今よりちょっと幼いね」


「で、高宮くんがここ」


っ・・・


高宮くん、短髪だ!


わあ!


「中学は学ランだったんだね?」


「うん。そして、桜小路がこれ!超イケメンでしょ!?」


「わっ!桜小路くんがチャラそう・・・」


「中学時代はサッカー部だったからね」


クラス写真見るの面白いなぁ。


「で、こっちから行事の写真ね」


「えーっと高宮くんは・・・」


高宮くん・・・どこかな?


「ほら、蜜葉ちゃん!こーこ」


優里香ちゃんは中一の体育祭の写真を指さす。


「えっ!高宮くん!?何か小柄で可愛い!リレーやってる!」


「リレーの選手だったからね。アンカーで1位になったんだよ、この時。背は中1の時は低かったんだ」


顔も幼くて可愛らしいなぁ。


「修学旅行、京都だったんだ?」


「そうだよ!」


綾ちゃん、女子に囲まれた状態で金閣寺の前で写真撮ってるけど、違和感ないなぁ。


さすが綾ちゃん。


姫島くんは基本的に高宮くんと一緒に写ってる。


ん?


「高宮くんが写ってる写真の後ろにいるのって・・・」


「そ!桜小路!必ずいるでしょ?もう可愛い!写真撮って携帯に保存しちゃった」


「優里香ちゃんの愛はすごいね」


こんなに愛されてるのに気付かない桜小路くんってかなり鈍感だなぁ。


「そ、卒業アルバムの写真!創作研究部の皆たくさんだね」


「卒業アルバム委員会の子達がファンだったんじゃないかな?」


「桜木、何見てたんだ?」


「わっ!高宮くん!」


いきなり高宮くんに後ろから声をかけられ、私は驚く。


「た、高宮くん達の中学の卒業アルバムの写真」


「えっ・・・何か恥ずかしい」


高宮くんは顔を赤らめる。


か、可愛い・・・。


「た、高宮くん!背、低かったんだね?」


「ああ。中2で一気に伸びた。つっても172cmで止まったけど、綾斗の成長が一番やばかったんじゃないか?185あるし」


「すごいね、男子の身長って」


「桜木の卒業アルバムも見たいな」


「えっ!わ、私の?」


「ん。桜木の中学時代知りたい」


「お、面白くないよ?私、リレーで活躍とかしてないし」


「俺は桜木の写真が見たいだけ」


「えっ・・・」


ま、また高宮くんは不意打ちで!!


「あー!俺らの卒業アルバムじゃんよ」


「きゃー!あたし、恥ずかしい!」


姫島くんと綾ちゃんが来た。


2人は卒業アルバムの話で優里香ちゃんと盛り上がってる。


「じゃ、じゃあ今度持って来る。恥ずかしいけど」


「うん。大丈夫だ。俺も恥ずかしかったから」


「た、高宮くんは可愛かったよ!今より小柄で幼くて」


「か、可愛い!?」


「高宮くん?」


「かっこいいじゃないのか・・・」


「あっ!でも、今はかっこいいよ!」


って!私、何言ってるのー!?


「っ・・・桜木のバカ」


「へ?」


ば、バカ!?


「そんな事言われたらめちゃくちゃ照れる」


高宮くんは顔がかなり赤い。


照れる高宮くんの顔がかなり可愛くてキュンとした。



頑張りたいな、私。


高宮くんに。


七夕祭り、やっぱり2人で行きたい。


高宮くん、私がいきなり2人で行こうって言ったらどう思うのかな。


「あ、あのね。高宮くん」


「ん?どうした?」


「わ、私・・・その・・・た、高宮くんと・・・」


「うん」


「た、高宮くんとたな・・・」


「桜木!」


あ・・・


「ひ、姫島くん」


「俺の中学時代、見やがったなー?」


「わっ!ごめんなさい!」


姫島くんは私の頭をグリグリする。


「恥ずかしいじゃねぇか」


「あはは!ユイユイ、今よりおチビさんだもんねー」


綾ちゃんも話に入ってきた。


い、言えなかった!


どうしよう、七夕祭り今週の土曜日なのに。


もうあと数日しかない。


高宮くん、誰かと行ったりするのかなぁ。


「みっちゃん!あたし、どうだった?」


「可愛かったよ!綾ちゃん!中1の時点では背が低かったんだね?」


「ふふっ。あたし、急に伸びたからねー!中2だと背の順で一番後ろー!」


「す、すごい」


「中学ん時、進撃の綾斗って男子達に呼ばれてたからな」


「もう!やんなっちゃうわよね」


「進撃・・・」


「てか、初めて俺らに声をかけてきた綾斗マジ怖かったよな。あたしの同人誌のモデルになりなさい!っていきなり俺と陸斗に」


「その日、俺は思い知った。オネエという生き物が身近にいる事を」


「もう!ユイユイと陸斗ひっどーい!こんな絶世の美女を前にして!」


「絶世の美女?んなもん見えねぇけど?」


「うん。変なテンションのオネエならいる」


「まあ!失礼しちゃうっ」


「3人は中学3年間ずっと同じクラスだったんだっけ」


「ああ。ずっと一緒」


「良いなぁ、仲良くって」


私も中学時代に3人に会いたかったな。


「桜木、ムカつく」


「へ?た、高宮くん?」


「それじゃあ桜木だけ仲良くないみたいに聞こえる」


高宮くんは唇を尖らせ、言う。


「そうよぉ!出会った日なんて関係ないわよ」


「綾斗の言う通りだぜ。桜木も大事な友達なんだからよ」


皆・・・。


「ありがとう!!皆」


私がお礼を言うと、3人は笑う。


私、皆と友達になれて良かったな。


「ふん」


「鬼島先生?どうしたんですか?」


「男女間の友情なんて脆いものだ。あの小娘は何も分かっちゃいない・・・」


ん?


今、誰かに睨まれていたような・・・?



「ユイユイがいないと締まらないわね」


「あいつ、補習だから」


放課後になると、私達は部活へ。


姫島くんは補習の為、今日は休み。


「とりあえず、シナリオ会議しましょ?ドラマCDの。ただね、一つ悩みが」


「綾斗、何だ?」


「あたし的には男子2人がヒロインを取り合うシチュエーションのドラマCDを作りたいのよね」


「声優としてこの部にいるのは俺だけだ、綾斗」


「そうよねぇ。ユイユイは演技下手そうだし、あたしは仕事たくさんあるし・・・」


「桜小路くん・・・」


「ああ!みゃーちゃん!確かにみゃーちゃんなら演劇部で主役じゃないし、時間ありそうね」


「ん」


「ナイス陸斗!明日聞いてみましょう」


桜小路くんにお願いするのかぁ。


「あ、そうだ。綾ちゃん!私、今日早めに帰るね?」


「あら、みっちゃん。どうしたの?」


「編集部に行かなきゃいけなくって。新しいネーム、見せに行くんだ」


「そう!健闘を祈るわ」


「うん!」


今度こそ編集さんに認められたい!!



「で?陸斗は何見てるの?」


「声優オーディション・・・やるみたいだ」


高宮くんは声優雑誌を見て言う。


「あら、陸斗は声優の専門学校に入りながらデビュー目指すんじゃないの?」


「父さんが学校入りを認めないから別のやり方を考えようかと」


「オーディション、やってみるの?」


「ああ。父さんに声優を馬鹿にされて火がついた。それに、桜木も頑張ってるから俺も今から頑張りたい」


高宮くん・・・


「い、一緒に頑張ろうね!」


「おぅ」


高宮くんの夢、叶うと良いなぁ。



私は部活を途中で抜け、編集部へ向かった。


かなり久々だなぁ、編集部。



「久しぶりだね、桜木さん」


「お、お久しぶりです!」


私の担当編集の高村さん。


短髪で眼鏡をかけた優しい雰囲気の30代半ばの男性だ。


「なんか雰囲気変わったね。さては彼氏でも出来たのかな?」


「で、出来てませんよ!もう!あの、新しいネームです」


「拝見しよう」


高村さんは私のネームの確認を始めた。


今回のネームは優里香ちゃんと桜小路くんをモデルにしたキャラ同士の恋愛。


幼なじみで素直になれない2人のラブストーリーだ。


「大分良くなったね。前よりも話にリアル感がある」


読み終えると、高村さんが言った。


「ほ、本当ですか!?」


「ああ。直す点が何点かあるからそこを直せば、いけるかもな」


「いける?」


「漫画大賞。デビュー目指して出そう、桜木さん」


「は、はい!」


「直す点今から伝えるね。まず、僕が一番気になったのはラストのキスシーン」


「えっ?」


「キャラの心情とかはとても丁寧に描けてるんだけど、キスシーンがまだ拙いかな。ドキドキしないんだよね」


「そ、そうですか・・・」


「トーンで効果的に見せたり、キスシーンの場所を変えたりとか色々変えようはあるからね。頑張って」


「は、はい!」


「後、直す点は・・・」


キスシーン・・・か。




家に帰ると、私はベッドにダイブする。


キスした事無いしなぁ。


高宮くんとキスしたいなぁ・・・


・・・って!


私、ハレンチすぎ!!


でも


ファーストキスは高宮くんが良いな。


「キスどころか彼女にもなれてないよぉ!」


七夕祭り、まだ誘えてないし。


へこむ・・・。


「とりあえず、キスシーン頑張らなきゃなぁ」


あと、明日こそは高宮くんを七夕祭りに誘う!!


「頑張るぞー!」


もっと積極的に!



「おはよう、蜜葉ちゃん」


「おはよう、優里香ちゃん。やけにニコニコしてるね?」


「桜小路に髪型褒められたのー!」


「良かったじゃん!」


翌日になると、私は優里香ちゃんと話す。


すると


「桜木」


えっ?


鬼島先生にいきなり私は声をかけられた。


鬼島先生は教室の入口に立っている。


「お、おはようございます!どうされましたか?」


「橘を探している」


「綾ちゃ・・・橘くんならまだ来てないですよ?」


「なら、お前に預けておこう。部誌の感想だ。原稿用紙にまとめた」


「あ、ありがとうございます」


感想を原稿用紙10枚くらいにまとめてる!?


「そうだ、桜木。お前に忠告する」


「はい?」


「男女間の友情は脆いものだ。恋愛は時に人間関係をも破壊する」


「鬼島先生・・・?」


「桜木、お前は誰かを傷つける覚悟で恋愛をしているか?」


「傷つける?」


「全く。奴らの気持ちも知らないようだな」


「お、鬼島先生!あの!」


「あいつらに思わせぶりな態度はしないように!以上!」


思わせぶりな態度??


「蜜葉ちゃん、大丈夫?」


「う、うん」


傷つける覚悟で恋愛をする・・・?


私はこの時、鬼島先生の言った言葉の意味を理解していなかった。


「キスシーン・・・か」


放課後、私は部室で動画を見る。


男子皆、用事があり、私だけ先に部室へ。


私はキスシーンの研究でスマホから恋愛ドラマを見る。


だけど


べ、ベッドシーン!?


「ま、待って!キスで終わりじゃないの!?わ、わわっ。きゃあああ!!」


「みっちゃん!?」


「桜木!?」


私が叫ぶと、綾ちゃんと高宮くんが部室へ駆け込んできた。


「大丈夫!?悲鳴が聞こえたけど・・・」


「う、うん。その、ベッドシーンが・・・」


「ベッドシーン?」


「き、キスシーンの研究でドラマ見てたらベッドシーンもあって恥ずかしくなって叫びました、すみません」


「きゃっ!みっちゃんってばかーわいい!」


「桜木、ベッドシーン見れないのか」


「あははー。辛いかな」


「昨日漫画却下されたの?」


「却下っていうかキスシーンが良くなかったみたい。あとは何点か少し変えれば大賞に出せるって」


「なるほどね!キスシーン描きたいなら・・・」


綾ちゃんはにやっと笑う。


「綾ちゃん?」


「僕がキスしてあげようか?」


綾ちゃんはいきなり私の耳元で囁く。


「だ、だめだよ!」


「えー?良い研究になるのに」


「大丈夫だから!たくさんドラマや映画見て頑張る」


「そうなの」


「桜木、俺もオーディション行く事にした。来週」


「た、高宮くんも?」


「桜木には負けてられないからな」


「頑張ってね、高宮くん」


「ああ」


高宮くんも上手く行くと良いなぁ。


「そういえば、みっちゃん!土曜日、どうするの?七夕祭り」


「えっ?」


「あたし、みっちゃんと2人で行きたいな。浴衣買ったし」


綾ちゃんが突然誘ってきた。


ど、どうしよう!


私、まだ高宮くんに・・・


「み、皆で行こうと思ってたの」


「えっ?みっちゃん?」


「た、高宮くんと姫島くんと綾ちゃんと・・・」


「皆で、ね?」


あれ?


綾ちゃんの顔が一瞬冷たく・・・


「俺も行きたい。行こう、桜木。皆で夏祭りだ」


「う、うん!」


2人っきりにはなれないけど、高宮くんも来れるんだ!


浴衣、着ちゃおうかな?


だけど


綾ちゃん・・・?


綾ちゃんは暗い顔をしていた。


七夕祭り当日になると、私はお母さんに着付けを頼み、浴衣を着た。


ピンク地に花柄の浴衣だ。


頭には赤い花の髪飾りをつけた。


「い、行ってきます」


夕方になると、私は待ち合わせ場所の境内の前へ。


「お、桜木」


「みっちゃん!」


「桜木、浴衣じゃんよ」


「み、皆!」


待ち合わせ場所に着くと、もう皆着いていた。


「ご、ごめんね!遅かったよね?」


「いや、僕達が遅くなっただけ」


あっ!


姫島くん以外の2人は浴衣だ。


綾ちゃんは髪を下ろし、グレーの浴衣を着ていて、高宮くんは黒地にストライプの浴衣を着ている。


2人とも色っぽい!!


「綾ちゃん、男子モードだ!かっこいいね」


「ありがと。今日は男子モードでね。みっちゃん!可愛すぎー!」


「あ、綾ちゃん。ありがとう。た、高宮くんも・・・」


「ん?」


どうしよう!


高宮くん褒めるの緊張するよー!!


すると


「陸斗!」


えっ?


「探したよ、陸斗」


黒髪の浴衣を着た美清楚な雰囲気の美少女が高宮くんにいきなり声をかけた。


「舞香!何故ここに?」


「陸斗がここで友達と待ち合わせしてるっておばさんに聞いて。夏祭り、舞香も一緒しても良い?」


胸が強く傷んだ。


高宮くんが女の子の名前を呼び捨てにしている事にショックを受けた。


この子は一体・・・?

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