第3話 恋に気づいた瞬間


ーー翌日。


「高宮くん、おはよう!!」


「ね、ね。何読んでいるの?」


わっ!


教室に着くなり、高宮くんが女子二人組に話しかけられていた。


高宮くん、困ってる!!


「おい!お前ら、陸斗困らせんな!」


姫島くんが助けに来た。


「姫島くん!!」


「ご、ごめんなさいっ。でも、私ら高宮くんと友達に・・・」


「あのなぁ、陸斗は女子が苦手・・・」


「桜木、おはよう」


えっ!?


高宮くんが私の元に来て挨拶してきた。


うっ!


女子の視線が痛い!!


「お、おはよう」


バッドタイミングだよ!高宮くん!


「おい、陸斗!何でこんな地味子と仲良くしてんだよ!」


「桜木は話しやすいから」


「はぁ!?」


「結斗。なんかうざい」


「り、陸斗のバカー!」


あっ!


姫島くんどっか行っちゃった。


「大丈夫だ、桜木。結斗は拗ねると走り出す癖がある」


「そ、そうなんだ」


本当に高宮くん大好きなんだなぁ、姫島くん。



「さっすがユイユイ!ずっと一緒だった幼馴染に別の仲良い子ができて嫉妬する展開!また良いネタができたわぁ!」


「た、橘くん!いつの間に!」


橘くんはニヤニヤ笑いながら来た。


「本当に仲良しなんだね、高宮くんと姫島くん」


「ユイユイにとって陸斗は王子様だからね」


「お、王子様?」


「そ。昔いじめられてたユイユイを助けたのが陸斗なんだってぇ」


橘くんはニヤニヤしながら言った。


そ、そんな事が。


逆なら分かるけど。


意外と高宮くんって男っぽいんだなぁ。



「桜木ちゃん!一緒に御飯食べましょう!」


昼休みになると、橘くんに声をかけられた。


「た、橘くん!良いの?」


「桜木ちゃんはあたしの友達だからー!陸斗もいるわよ!」


「あ、ありがとう!」


高校生活で初めての友達とランチ!


だけど


「あれ?陸斗、いない。どこに消えたのかしら」


橘くんは机をくっつけると、高宮くんを探す。


すると


「結斗連れて来た」


高宮くんが姫島くんを連れて来た。


「あら!仲直りできたのね」


「てか、何でこいつもいるんだよ?」


「桜木ちゃんは友達だからね!」


「うん。桜木、友達」


「お、俺は女と友達になんかならねぇからな!」


うっ。


姫島くんとも友達になりたいんだけどなぁ。


「大丈夫よ。桜木ちゃん。ユイユイはツンデレだから」


「ツンデレなの?」


「余計な事言うな!綾斗!」


「そうだ!桜木ちゃん。苗字呼びだと固いし、呼び方変えて良い?」


「へ?」


「みっちゃんって呼びたいなぁ、あたし!」


「うん!橘く・・・」


「だーめ!あたしの事も名前呼びして!」


「えっと、じゃあ・・・綾ちゃん?」


「きゃあああ!可愛い!!よろしくね!みっちゃん!」


だ、抱きつかれちゃった!


「おい、綾斗。それはセクハラだぞ!」


「あたし、心は乙女だからセーフ!」


姫島くんが言うと、橘くんは笑って言った。


「そういや、今日の部活何やるんだよ?」


「とりあえず!部誌的なの作ろうかなぁと。漫研がよく作る冊子みたいなのね」


「部誌?」


私は首を傾げる。


「そ!あたしとみっちゃんは漫画。ユイユイは小説。陸斗は・・・」


「4コマなら描けると思う」


「了解!まずは皆の力量見たいし、一冊の本を作ってみましょう」


「ま、無難だな」


「あの、たち・・・綾ちゃん!何で姫島くんは小説なの?」


「ユイユイはラノベ作家目指してるからね」


「あーやーとー」


「きゃっ!こわーい!」


ラノベ作家!?


「わ、笑うなよ?」


「すごいね!姫島くん!」


「は?」


「姫島くんにも夢があるんだね!私、応援するよ」


「なっ・・・」


姫島くん?


「とりあえず、今日から制作開始ね!上手くいけば学園祭で配布できるわよ」


「俺、4コマ頑張る」


「陸斗の絵か・・・」


「結斗?何でそんな顔をする?」


「はは・・・」


どうしたんだろ?



放課後になると、私達は部室へ。


「みっちゃん、大荷物ね」


「原稿用紙とペン類とトーンとスケッチブックがあるので」


「こんなに揃っているのね、さすが漫画家志望」


私は部室に着くと、漫画を書く道具を机に並べる。


「この原稿はなぁに?みっちゃん」


「あ!それは担当さんに没をくらったネームです」


「見たい。桜木」


高宮くんが瞳を輝かせて言う。


「ど、どうぞ」


男子3人は私の原稿を読み始める。


「何この子!超タイプのイケメン」


「ヒロインがギャルゲーにいそうだ・・・」


「はちみつさんの時とは違った雰囲気だ。桜木の漫画」


「きゃああ!壁ドン!壁ドン!あたしが大好きなシチュ!」


「ヒロインを泣かせやがって。このヒーロー!」


「このヒーローの髪型、ライアスのカケルみたいでかっこいい」


皆、見事に観点が違う!?


「はぁ!面白かった!何で没なのかしらー?」


「桜木の漫画、悪くねぇな」


「俺、桜木の漫画好き。何故没にするし、担当」


「そ、それは・・・」


「みっちゃん?」


「わ、私が恋愛経験ゼロでリアルに描けないから。リアルさが足りないってよく言われちゃうんだ」


「まあ!」


「おかしいよね。恋愛経験ゼロなのに描いてるの」


「おかしくないわよ!あたしだってBL描いてるけど、男子と付き合った事ないし!恋した事ならあるけど」


「恋した事はあるのかよ」


「ねぇ、みっちゃん。みっちゃんが良ければあたしがみっちゃんと付き合っても良いわよ」


橘くんはにやっと笑って言った。


「えぇっ!綾ちゃん!?」


「ふふっ。あたし、みっちゃんなら楽しく付き合えそう」


「黙れ、オカマ!桜木には荷が重すぎるだろ」


「あぁ?んだと?結斗」


あ!


橘くんの男子が出ちゃった。


「綾斗。そういうの良くない。桜木、困ってる」


「冗談よー!」


び、びっくりした!


「合コンにでも行けば良いんじゃねぇの?出会い広がるし」


「ユイユイ、チャラ仲間たくさんいるもんね。紹介してみたら?」


「そうだな。してやっても良いぞ」


ご、合コン!?



でも


好きな人くらいは作りたいな。


漫画関係なく、もう高校生だし・・・


恋愛してみたいなぁ。


「合コン、考えてみるね」


「お、おぅ」


恋愛をしたらもっと良い作品を描けるようになるかな?


「綾ちゃん、すごいね!男子がすごく美形!」


私は綾ちゃんが描いた原稿を見て言う。


「あたし、男子ばっか描いてるからー!ほら。これは陸斗をモデルにしたキャラ」


「俺、こんなにカッコ良くない」


「陸斗は謙虚よねー、本当。で!このかなり怒ってるのがユイユイ」


「何で俺、顔赤らめて怒ってんだよ!」


「どういうお話なの?綾ちゃん」


「もちろん、ユイユイがツンデレ受けの・・・」


「桜木、聞くな。だめ、絶対」


高宮くんがいきなり綾ちゃんの口を塞いだ。


「全く。これだから腐ったオカマは」


「姫島くんは?小説書いてるの?」


「あ、ああ。プロットを書き始めた。部誌に使う小説の。くそ、ヒロインが浮かばねぇ」


「高宮くんは・・・」


高宮くんのノートには猫の絵が。


「可愛い猫だね」


「それ、オオカミ」


「えっ!?」


「やっぱりな。陸斗は頭良いのに美術だけ成績悪いんだよな」


「俺は平成のピカソなんだ。この画風が魅力」


「てめぇ、ピカソに謝れ!」


高宮くんってクラスでは勉強もできて、スポーツ万能だったからなぁ。


まさか美術が苦手とは。



誰にでも弱点ってあるんだなぁ、やっぱり。


「これ、結斗」


「何で俺、目つきわりぃんだよ!陸斗!」


「みっちゃんはネーム書くの?」


「うん!昨日の夜と休み時間の間にこっそり描いたやつの続き」


実は高宮くん達をモデルにして半分くらい書き始めた。


身近な人をモデルにしたらリアルさ出るかなって思って。


高宮くんをメインヒーローにしてる。


一通り出来たら高宮くん達に見てもらおう。


今日は徹夜かなぁ。


部誌用の漫画はラブコメで行く!


私達はそれぞれの作業に取り掛かる。


だけど


さっきから高宮くんの視線を感じるんですが!


「高宮くん?」


「初めて生で見た桜木が漫画描くとこ。感動」


「あ、ありがとう」


「ところで桜木、このヒーローは何をしているんだ?」


「へ?」


「壁にヒロインを押し付けてる」


「やっだぁ!陸斗!壁ドンも知らないのー?」


綾ちゃんが話に入ってきた。


「壁丼?まずそうな丼だ」


「そっちのドンじゃないわよー!もう!今、少女漫画やドラマでよくヒーローがやる事よ。女の子は皆壁ドンに憧れるのよね。ね?みっちゃん」


「う、うん。強引な感じが良いって人気なんだよ」


「壁ドン・・・」


「陸斗に無縁そうなワードだな。覚える必要ねぇぞ!陸斗」


「それをやるとかっこいいのか?綾斗」


「まあ、そうね。やる人にもよるけ・・・」


「桜木、壁の前に立て」


「へ?高宮くん?」


私は高宮くんに言われ、壁の前に立つ。


なんだろ?


すると


いきなり高宮くんは私を壁に押し付けてきた。


えっ!?


「あいつの所になんか行かせない!お前は俺のものなんだからな」


「た、高宮くん!?」


高宮くんは私を真っ直ぐ見つめ、言った。


私、高宮くんに壁ドンされてる!?


しかも


高宮くん、いつもと声の感じが違う?


どうしよう!?


「桜木、どうだ?俺、上手くできてたか?桜木の漫画のキャラっぽく演じてみた!」


高宮くんはキラキラした表情で私に言う。


「えっ?ああ、うん。別人みたいだったよ?」


おさまれ!


私の心臓のドキドキ!


こんな顔真っ赤にしてたら高宮くんに変に思われちゃうよ!


「陸斗!何してんだよ!てめぇ!」


姫島くんが高宮くんに怒鳴る。


「いつか声優デビューできたら少女漫画のヒーロー演じるかもしれない。練習したんだ」


「いきなり女子にやるな!ただの危ない奴だぞ、陸斗」


「桜木は友達だから許してくれると思った」


「これだから天然たらしヤローは」


「みっちゃん大丈夫?」


「う、うん。びっくりしちゃった」


「もう!陸斗!女の子に軽々しく壁ドンしちゃだめよ。するなら好きな女の子にね?」


「桜木は好きな女子だ」


「あんたの言う好きはそういう好きじゃないでしょ!」


高宮くんってやっぱり行動が読めない人だなぁ。



「顎クイもキュンキュンするわよね!みっちゃん」


「うん!でも、あまりにベタな展開入れすぎちゃうとベタベタな少女漫画になっちゃう」


「それもそうねぇ」


「綾斗、顎クイってなんだ?」


「陸斗、お前はもう余計な事すんな!四コマ描いとけ!」


「そうよ、陸斗。みっちゃんがびっくりしちゃう」


「桜木、俺に顎クイされたら嫌なのか?」


高宮くんは私に聞く。


「ふぇっ!?い、嫌というか・・・高宮くんは俺様感無いからすごい違和感を感じるかな?」


「俺は俺様に向いてないのかな」


「カピバラが狼になれると思うか?陸斗」


「そうね。陸斗は草食系男子だから」


「そうか。確かに俺はベジタリアンな方だな」


「陸斗、草食系男子ってそういう意味じゃないからね?」


「頭が良いんだかアホなんだかよく分からない奴だな、陸斗は」


高宮くんって本当に天然なんだなぁ。


なんか可愛いな。


カピバラって言われるの何か分かる気がする。


「顎クイも壁ドンもユイユイならやりかねないわよねぇ」


「は?俺はやらねぇぞ!そんな事」


「ユイユイも陸斗と同じく奥手よねぇ」


「綾斗だって彼氏いた事ねぇだろ」


「仕方ないじゃなーい!クラスで一番モテる陸斗はユイユイの嫁だし、あたしの好きになる人、皆ノンケだからぁ!」


「ま、オネエなDKがタイプの男なんてなかなかいねぇもんな」


「と考えると、この中で彼氏彼女いた事ある人いないってなるわね」


「俺はあるぞ!綾斗!」


「ユイユイが言いたいのは二次元の彼女でしょ?」


「言っとくけど、デートもできるし、名前も呼んで貰えるんだからな!今時のギャルゲーなめんな!」


「やっぱり高校生になったら彼氏欲しいわよね。みっちゃん!浴衣着て花火大会一緒に行って、浴衣褒められてぇ!あと、海行ってビキニで悩殺も!」


「綾斗、やめろ。これ以上話すのは。ビキニ姿の綾斗なんて考えただけできついわ。吐き気が」


「ユイユイ、ひっどーい!」


「でも、綾ちゃんの気持ち分かるな。私もそういうの憧れるから。彼氏も浴衣で2人で花火大会行くの素敵だよね」


「でしょー?やっぱりみっちゃんは分かってる!」


「まあ、浴衣イベントは大事だな。その後、彼女の家に行って浴衣を脱がすというイベントが・・・」


「結斗、気持ち悪い」


「り、陸斗!気持ち悪いとはなんだ?」


「ユイユイの変態!みっちゃん、絶対ユイユイと花火大会なんて行っちゃだめよ?」


「おい、綾斗!てめぇだってエロいゲームやんだろうが!」


「何の事かしらー?」


「桜木、結斗と綾斗の会話は聞かない方が良い。基本的にR18だから」


「R18なの!?」


まだ高1なのに。


でも


綾ちゃんって本当に乙女なんだなぁ。


綾ちゃんとは女の子と話してる感じで話せちゃうから不思議。


だから女の子に人気なんだなぁ、綾ちゃんは。


部活が終わる頃にはネームの大半が出来上がった。


私達は談笑しながら帰宅。


だけど


基本的に姫島くんは高宮くんと話す率が高く、あまり私は姫島くんと話せていない。


綾ちゃんとはよく話すようになったけど・・・


姫島くんとはまだ距離があるなぁ。


仲良くなれると良いけど。



翌日もお昼休みは部活のメンバーとランチをした。


女の子の友達はいないけど、最近は3人といられるから寂しさが無い。


だけど


私が学園で人気の3人と仲良くすることをよく思わない人がいる事に私は気づけないでいた。


放課後になると、私は先生に仕事を頼まれた。


3人に先に部活に行ってもらうと、私は先生の仕事を手伝った。


やはり


委員長となると、先生に頼まれ事をよくされる。


仕事を終え、私は教室へ。


結構時間かかったなぁ、仕事。


だけど


「桜木さん」


教室に入り、鞄を持とうとするといきなり女子3人組に囲まれた。


「あ、あの?」


「最近さぁ、目障りなんだけど」


「えっ?」


「高宮くんと姫島くんと橘くん。3人と仲良くしちゃってさ。部活も一緒なんでしょ?何であんたみたいな地味子があの3人に近づくわけ?意味分からない」


「うちさ、ずーっと高宮くん好きだったんだよねぇ。でも、高宮くん女の子苦手で全然話してくれなかった。何であんたみたいなのが高宮くんと付き合うわけ?」


「そうよ!美香の方があんたなんかよりずっと可愛いし、ずーっと高宮くん好きだったんだから。邪魔しないでくれる?」


「あ、あの!私は3人とは友達で。彼女になりたいとかそういうんじゃ・・・」


「はぁ?」


「あ、あの!私、部活行かなきゃ。ごめんなさい!」


「待ちなさいよ!」


私が行こうとすると、一人の女の子が私の腕を強く引っ張った。


その瞬間、手に持っていたネームを入れた封筒が床に落ちてしまった。


「何これ?」


一人の女の子が拾ってしまった。


「美香見て!これ、いかにも高宮くんじゃね?」


「何?高宮くんモデルにした漫画描いてるの?超気持ち悪いんですけどー!」


3人は笑う。


「あの、返して・・・」


「何こいつ?漫画家志望?だっさ!」


「デビューできるわけないじゃん!こんなださい絵柄で」


「返してください!!」


だけど


「良いよ?返してあげる」


えっ?


一人の女の子はネームをビリビリに破いた。


「あはは!ざまあみろ!」


っ・・・


私はしゃがみこむ。


頑張って描いたネームが・・・。


辛くて涙が止まらない。


「何?泣いてるわけ?超キモーい」


「高宮くん達に近づくからいけないのよ」


どうしてこんな・・・


「桜木、腹減ったからコンビニ一緒に行こうって綾斗が・・・えっ?」


「た、高宮!?」


女子達の驚く声が聞こえた。


高宮くんが突然、教室に入ってきた。


「桜木?大丈夫か?それ・・・」


高宮くんは床に落ちている破かれたネームに気が付いたようだ。


「やったのはお前らだな」


高宮くんは3人を睨みながら言う。


「高宮くん!だ、だってこの子ムカつくんだもん!高宮くんに近づきまくって。うちの方がずっと前から高宮くん好きだったのに!」


「そうだよ!高宮くん、何でこんなだっさい女に関わるわけ?」


「桜木はださくなんかねぇよ!夢に向かって頑張ってキラキラしてる。このネームは桜木が頑張って描いたものだ。そんな大事な物を破くなんて最低だな」


「で、でも・・・」


「俺が誰と仲良くしようと俺の勝手だ!俺はお前らみたいな女、大嫌いだ」


「っ・・・」


「桜木に謝れ!!」


いつも落ち着いている高宮くん。


だけど


今の高宮くんは冷たい瞳をしていて、声を荒げている。


「ご、ごめんなさい・・・」


「桜木に何かしたら俺が許さない。俺にも一切関わるな」


高宮くんが冷たく言い放つと、女の子達は走って逃げて行った。


「大丈夫か?桜木?」


「高宮くん・・・」


「ごめん。俺が桜木と仲良くしたせいで桜木が・・・」


「た、高宮くんは悪くないよ!」


「ネーム、また一緒に考えよう。俺、協力するから」


「ネームの事は気にしないで!」


「だめだ。俺も一緒に考える」


「高宮くん・・・」


「桜木、ごめんな」


高宮くんは私の頭を優しく撫でる。


高宮くんに頭を撫でられると、私の顔が一気に熱くなる。


「みっちゃん!」


「桜木、大丈夫か!?」


橘くんと姫島くんが来た。


「お前ら、見てたのか」


「ごめんね。あたし達がみっちゃんと仲良くしたばっかりに・・・」


「あいつら、信じられねぇ性格してやがんな」


「はい、みっちゃん!ハンカチ・・・」


綾ちゃんは私にハンカチを差し出す。


だけど


「みっちゃん、顔真っ赤」


「へ?」


そういえば、さっきからずっと心臓がうるさいし、顔がとても熱い。


「恋って突然落ちるものよね」


綾ちゃんは私にこっそり耳打ちした。


恋?


わ、私が?


た、高宮くんに!?


「桜木?どうした?大丈夫か?」


高宮くんは私に顔を近づけてきた。


「だ、だ、だ、大丈夫です!」


「そうか?なら、良かった」


高宮くんはいつもぼーっとしているからあんな一面があるとは思わなかった。


どうしよう。


私、高宮くんを好きになったみたいだ。


気づいてしまった、恋に。



















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