第8話 見てるだけで元気が出てくる
中池袋公園では、様々なイベントが行われるが
基本的に入場無料なので、近くで遊んで疲れた時は、休憩がてら喫煙所に来ることもある。まあ、大半、独りなんだけどさ…
今日はたまたま池袋をぶらついていると、どうやらイベントにぶつかったようだ。
沖縄伝統舞踊のエイサーを披露するイベントらしい。
様々な年代の人たちのサークルが、思い思いの創作エイサーを舞っている。
このイベントも例に外れず入場無料。見るだけならタダ、だ。
割と人だかりが出来ている。
とりあえず、相も変わらず喫煙所へ。
舞台で踊っている様子は見られないが、打ち合わせとして公園の外れで振り付けの確認をしているところは鑑賞できる。
さすがに、発表前に喫煙所に来る人はいないようだ。そりゃそうだ。
運動前に煙草なんて吸った日には動けなくなる(俺はバスケをやる前に、関係なく吸ってしまうが。特に問題無い)
「エイヤーサーサー!」
会場から威勢のいい節が聞こえてくる。
木の根周りを覆う石に上がって背伸びをしてみる。
遠目ではあるが人の間から太鼓を鳴らしながら、派手な動きで待っている様子が見える。こういうのを見るのは好きだ。笑顔で大きな声を出して、練習の成果を発揮している風景を見ると、こちらも「頑張らないと」と元気になれる。
思わず喫煙所でゆっくり煙草を吸いながら鑑賞していると、気づいたら40分程経っていた。
「おっと、まじか。何本吸った…」
煙草の箱を確認してみると、6本は吸っていた。
さすがに無駄に吸いすぎだろ…
というか、無意識に吸いすぎ…
もらった元気をため息で全て出し切ってしまわないように、ぐっと堪えて、自己嫌悪に苛まれながらも池袋へと向かった。
そして後日、別の日に再び中池袋公園。
今日も今日とて、大学帰り、乗り換えで一時池袋で降りた俺は、少しぶらついた後に中池袋公園に来ていた。
土曜にも授業があるが、普段は地元でバイトがあるので、そのまま帰る。
今日はたまたまバイトも無かったから。昼から喫煙所へ。
中池袋公園に向かう道順として、池袋駅の東口から出て、目の前の信号を渡る。
アルマーニの左側の道を抜けてまっすぐ。パチンコ屋とドコモに挟まれた道をこれまたまっすぐ。左側にスターバックスが見えてくるので、スタバの前で左へ。
アニ○イトの横を通り過ぎると、公園に着く。
この道順で行くと喫煙所が近く感じるのだ(感じるだけ)
ふと、公園の左奥を見る。派手な音楽がかかっていたからだ。
ラフな格好の男女数人が、ダンスを踊っていた。
こういう集団は先述した団体よりかは見かける頻度が高いが、いまだに何のための集まりなのかが分からない。何かしらのイベントに出るのか、趣味なのか。
「------!-!」
何かを言い合っている。
おそらくダンスの内容に対して議論しているんだろうが、喫煙所からは内容までは分からない。
喫煙所には俺以外誰もいなかったから、とりあえず座って吸いながら、様子を観察してみた。
話し合いが終わったのか、再び踊りだした。
周りとの動きが合わないのか、何度も同じパートを繰り返し踊っているようだ。
足の動きを真似するのはさすがに立ち周りになってしまうので自重したが、手の振りだけは真似してみた。
煙草を吸っているというのに火元を振り回すという危険な行為。さすがに誰もいないとこんなことはやらない。
が、自分が吸っていることを忘れていた俺は、煙草の先に溜まっていた灰が首に飛んできた。
「アッチ!なんだ⁈」
なんだ⁈じゃねえ。煙草の灰だよ。気づけよ。
自分に自分でツッコミを入れる。
ほんと、こういう時、誰も周囲に居なくて良かったと、心底思う。
結局のところ、度々公園で見かけるラフなダンス集団はどこでそれを披露しているのかは、いまだに謎のままだ。
まあ、そこまで考え込むことでは無いけれど…
今日の喫煙所教訓【中池袋公園喫煙所では、いろんなダンスが見れるが、周囲には注意しよう】
※教訓でも何でもない。
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