第11話 カラフユ

まっくろな部屋の中で


まっしろな部屋の外で



まるで別な世界に迷い込んだような


不思議な



いつのまに空から落ちてきたのか

音がしないからわからない


ぐっと下がる温度に

みんな熱を求める

れっど



誰も足を踏み入れてないそこは

甘そうで

雲のようで


一歩踏み出せば落とされそうだ

くりーむ



太陽が気まぐれに顔を出せば


照り返して眩しい

溶かされていけ

白くて眩しくてすぐ溶けて消える

そんな幻なんて

ほわいと


ずっと残ってる日陰の塊は

泥はねで汚れていく


白黒つけられない色になっていく

ぐれー



凍えて震えるまっくろな自分は

静かに静かに落ちては落ちる


ゆきがふっている

ゆきがとけていく


くらい世界もしろく染めていく


小さい子どもがはしゃいでいく

あの頃作った雪だるまは

今ではもう作れない



あたたかい家に帰れば

あたたかい何かが待っている

あたたかい店に入れば

あたたかいものが売っている


寒い財布を見つめて手袋を外して

手袋をしてもかじかんだ指をあたためるために

手袋と同じ色のココアを買う

ぶらうん


まっしろな顔がまっくろになっていく

まっくろな顔が真っ青になって真っ赤になって

まっしろになっていく


いろんな顔になっていく


いろんな冬が過ぎていく


あたたかい季節になるのを待っている


冬だってからふる

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