第10話 ふるえるふるえる

からだのふるえが止まらないのは


別にあたしが悪いわけじゃない


それで仕事にならないから


体が震えてもいい仕事につきたい


どうしてなるのかなんていわれても


わざとなんかじゃないのに


お酒飲んできたわけじゃないのに


指先が震えて足がガクガクいって


歯がカタカタなって体の奥がゾクゾクして


寒いわけじゃないのに


寒い時もそうなるけれど


トコトコなってる胸を押さえつけるからきゅーっとして


そしてうまく話せなくなる


こんなに震えてしまっては何もできない


病気かな


あがってしまって


針を持つ手が震える


針?なんであたしは針なんて持ってるの


あたしの仕事は


重くて怖くて辛くて痛くて臭くて苦しい


だけど、それがたいせつ


だってそんな思いをしている人に対する仕事だから


だからこそふるえていてはいけない


おさまれしずまれとまれきえろ



そうしてそうしてふるえる身体と


こんなにこんなにふるえる声と


それからそれからふるえる心が





かたかたがたがたぶるぶるがくがく


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