6-自分を生きよう


そして、当事者のみなさんも“怖がらずに胸を張っていきましょう。

僕たちはなにも恥ずかしい生き方をしているわけでも、変人なわけでもありません。堂々と恋人と手をつないで外を歩いていいんです。好きな恰好をして、好きな場所を好きなときに。みんなが受け入れてくれないんだ。じゃなくて、僕たちも受け入れてもらえるような努力をしましょう。みんなもわからないから困ってるんです。僕たちもわかってもらえないから困ってるんです。それなら、少しずつ歩み寄ってみましょう。そしたらきっとなにかが見えてくる。みんながみんなそんな強く生きられるわけじゃないけど、それなら自分の生きる道を考えてみましょう。周りに言わなくてもいい。それでいいから、周りに左右されずに、自分で思い描いたその人生を歩んでください。それだけできっと、あなたの周りの人は理解してくれるはずです。もし、誰も理解してくれなくても、協力してくれなくも、歩み寄ってくれなくても、僕は必ずあなたの味方です。だから、少しだけ勇気をもって生きてみましょう。きっと新しい世界が開けてきます。僕がそうだったように、自分の人生を見つめ直してみたら、きっと思わぬところで大きく前進できるはずです。僕が母になったように・・・。


両親が離婚して辛かったら、辛いって言っていいんだよ。自分自身が汚れてしまったと僕のように被害を受けている子がいるなら、大きな声でSOSをだしていいんだよ。君は被害者でなにも怖がる必要なんてない。それほど辛いことはない。辛いって叫ぶんだ。LGBTだったらそれと向き合って、自分の人生を生きていいんだよ。周りの人の人生じゃない。君がこけても、その人が代わりに痛い思いをして、立ち上がってくれるわけじゃない。だから、堂々と胸を張って生きよう。分かち合いたかったら、当事者と分かち合ったらいい。ただ、仲良しごっこじゃないから、居心地がよくてもずっとそこにいちゃだめだ。前に進むために、当事者で分かち合うんだ。僕の周りにもGIDだけでつるんでる人たちがいるけど、それじゃなんの意味もない。世間に認めてほしいなら、自らの性自認で扱ってほしいなら、自分から発信しないと。それがあるから、弱音を吐いていいんだ。そうやってみんな辛いことを辛いといって、生きていっていいんだよ。そしたらきっと、隣に誰か寄り添ってくれるから。大丈夫。みんな支え支えられて、生きているから。


僕が壮絶だと感じて生きてきたこの25年間。きっともっと辛くて、壮絶な人生を送っている人はいるだろう。僕は別に辛かったよという自慢や悲劇の主人公になりたいんじゃない。今、そこで悩んいでるあなたも同じくらい辛いだろう。今、この僕の人生が役に立つかもしれないときがきている。だから、僕は今まで周囲に話していないことも打ち明けた。きっと、僕が当時、壁にぶつかって悩んだときに、同じ悩みを抱えているから、大丈夫だと言ってくれる人がいたら、きっと僕の辛さは半減していたかもしれない。


だれに何を言っていいのかわからない現代。でも、みんな似たような経験をした人や同じ経験をした人には心を打ち明けられるもの。だから、自分だけだと思わずに、周りに目をむけてほしい。きっと、一人くらいはいるかもしれない。だって、もうすでにここに僕という人がいるから。

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