5-よくがんばりました
僕は6月に入ってからというもの仕事を休みがちになっていた。
それなりにつわりがきていて、僕の仕事は体が資本の仕事だったから余計につらかった。職場には一部の上司にしか伝えていなかった。本当は会社にしっかり伝えなきゃいけないんだろうけど、諸事情があって伝えられなかった。そんな僕をみて彼は、頻繁に体を気遣う連絡をくれた。僕からしたらそんな人だと思っていなかったので、びっくりと同時に、心配してくれる人がいるという安心感があった。今でもこの子の父親が誰だか知っている人は一人だけ。だから、ひた隠しにして、頑張るしかなかった。
でも、今思えばとても褒められたことじゃない。超初期は安静、無理はしないというのが鉄則みたいだが、僕は知らなかったっていうのもあるし、大丈夫でしょって思っていた。大間違いだ。あんなに重い荷物を持って、走りまわって、車を長距離運転して。体に負担ばかり。確かにたまに、下っ腹が急に痛むことがあった。よく流産しなかったと思う。
つわりがおさまってからは、変わらず仕事することができた。でも、いつまでもできないことはわかっていたから、辞め時をみはからっていた。結局、8月に入り、ちょうど6ヶ月の時やめることにした。びっくりするくらいお腹もでないし、周りが気付くこともなかった。そして、そのまま周りが気付くこともなく僕は仕事をやめた。
本当にこの子には感謝している。いつ流産してしまっても仕方ないことをしていたと思う。それでも順調に育ってくれて、本当に強い子だ。きっとあの時流産していたら、僕はこの人生は諦めていたと思う。早々に仕事をやめた僕は、それまでを埋めるかのように毎日体を大切にした。
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