2-僕は死んだ
そんなとき、先生に週末の予定を聞かれ、なぜかと聞くと、趣味で合唱をやっているから、気晴らしに来てみないかと誘われた。
僕は中学の時から合唱が好きだったし、僕の高校では合唱コンクールがなくて、寂しく思っていたところだったから、いい機会だと思い、行ってみることにした。年齢層も様々で不安だったが、みんなかわいがってくれた。それから、週末はそこに通うようになっていた。いい気晴らしになったし、全く知らない人だからこそ、一緒にいて気が楽だった。
夏休みのある日、合唱団のメンバー数名で海に遊びに行くということで、誘われたので僕も行くことにした。当日、みんなで海にいき海水浴はしなかったけど、水遊びしたり、食事したり楽しい時間だった。
その帰り、僕は先生が学校に行く用があるから、近くまで送ってくれるというのでお言葉に甘え、送ってもらうことにした。道中、僕は遊び疲れて寝てしまった。
ふと目が覚めると、見覚えのないところに着いていた。僕にはどこだか理解できず、混乱していると、「降りるよ」と一言。降りて回りを見渡して、ようやく状況が把握できた。そこは、ラブホテルだった。全く意味がわからないし、この状況をどう理解していいかわからなくて、パニックだった。拒絶したがそこは、よくある受付を通過して部屋にいくタイプではなく、部屋と駐車場直結のタイプで誰に会うこともなく、抵抗むなしく、部屋に連れ込まれた。“僕”とはいっていても、体は女。体も華奢だったから、力で勝てるわけなかった。初めて入ったホテルに僕は混乱。とりあえずこのあと起こりそうなことを阻止するのに必死だった。でも、その抵抗むなしく、僕はベッドの上に。僕の上には先生がいた。それからのことは、いまいち覚えていない、今思い出そうと思っても思い出せない。
もうなにも考えられなかった。なんでこうなっているのかも理解できないし、まさかこの人がこんなことするなんてという思いと。帰りはどうにかして帰ろうと思ったけど、まずどこだかわからないし、田舎過ぎてタクシーは通らないし、僕は携帯を持たされていなかったから、その人を頼るしかなく、放心状態で車に乗り、近くまで送ってもらった。家につき、自分の部屋へ。いろいろなものがこみあげてきて、吐き気がした。
なにより自分への嫌悪感でいっぱいになった。
この日から僕は死んだ。いなくなったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます