高校生

1-遅い五月病


高校では部活に入らず、サッカーだけに打ち込むことにした。

きっとこのとき、サッカーだけに打ち込んだからこの後、すごい場に僕は立ち会うことができたのかもしれない。


4、5月と忙しさでなにを感じることもなく、ただただ日々が流れていった。

6月に入ったときのことだった。今思えば、遅い5月病だったのかもしれない。なんだか気持ちが沈んでいて、なにもやる気にならなかったし、なんだか学校にいるのも家にいるのも疲れていた。でも、そんなこといちいち気にすることでもないし、いつか落ち着くだろうと思っていた。

そんなとき、ある授業の終了後、先生に準備室に呼ばれた。

「なんかあった?元気ないね。なにかあったら話聞くよ。」

と言ってくれた先生がいた。とりあえず、気にかけてくれたからお礼はしたけど、そんなに仲がいいわけでもなかったし、そのときは気にもとめなかった。

でも、なかなかその5月病も治らなくて、余計に疲れていくばかり。そんなとき、あの先生の言葉を思い出した。あまり頼りにしていたわけじゃないけど、むしろあんまり仲が良くないからこそ、なにも気にせずに話せるかなと思い、先生を訪ねることにした。別に解決してほしいわけでも、答えがほしかったわけでもない。ただ、話を聞いてくれればそれでよかった。


いつからか自分の弱いところを友達とかに見せることができなくなって、それからは友達に相談とかをしなくなったから、溜まっていたのかもしれない。それに、このころもストレスとか無気力とか悩みの種は自分自身のことだったから、誰にも言えなかった。そして、特にこれといって解決をもらったわけじゃないけど、そのとき思っていたことを話してスッキリした。それから、何回か話を聞いてもらっていくうちに、モヤモヤも軽くなってきた。学校生活のこと、成績のこと、家のこと。さすがに自分自身のことは話せなかったけど、それでも少しは楽になっていたから、僕はそれで満足だった。

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