第1章はじめての彼女ができるまで第3話 、、よろしい、ならば確認だ!!

『ファンです!』



練習時の女子からの言葉が頭から離れない。


練習後のアップを済ませて帰宅する頃には、すでに女子達は居なくなっていた。


「落ち着け………… 心を平静にして考えるんだ…こんな時どうするか……2… 3 ..5… 7… 落ち着くんだ…『素数』を数えて落ち着くんだ…『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字……わたしに勇気を与えてくれる」



『ファンです、!』



、、、そうだ、きっとクイズでもしてたんだろう。


Q.扇風機などの中心部に据えられた前方に風を送り出すための器具をなんと言う?


A.『ファンです、!』


正解だ。、


、それともこうか、、?


『へぇ、お父さん朝鮮人なんだ〜。あなたの苗字って何て読むの?』


『黄(ファン)です、!』


アンニョンハセヨ、!


いや、、わかっている。

野生の勘が告げている。

これは、、モテていると、、!!



あのとき誰か私の周りに人がいたか!?


『No Sir!!』


では、あの女子達は女装した男共だったか!!?


『No Sir!!!』『No Sir!!!』


ならば、、あの言葉は女子から私に向けて掛けられた言葉か!!!?


『Yes Sir!!!』『Yes Sir!!!』『Yes Sir!!!』『Yes Sir!!!』『Yes Sir!!!』『Yes Sir!!!』


、、よろしい、ならば確認だ!!


明日!登校したらあの3人の女子を探しあて、事実を白日のもとに晒すのだッ!!


〜翌日〜


朝から学年朝会があるため朝練はなく、体育館に向かった。

わざわざ体育館履きに履き替えるのが面倒臭いが、昨年新設された体育館は未だ新しい匂いを残しており、掃除も行き届いている。


「綺麗な場所には悪人は生まれない」


そんな事でも意識しているのかどうか、私の通う中学校全体が、先生の話し方や行事からもなんだか甘ったるい幼稚園のようなゆるさが感じられる。

お陰でなのか判らないが、大した不良もいないこの中学校はとても快適な環境ではあった。


今日の学年朝会は着席式らしく、整然と椅子が並べられている。

私のクラスの列に座るとすぐに隣の席にも人が座り、皆、前を向いて会の開始を待っていた。


校長の話が始まり、前置きの長さから優に20分は話すだろうことは想定内だ。



『ねぇ。』



隣から声をかけられて首だけ回して振り向くと、昨日の女子が座っているではないか、!

学年朝会だから何処かにいるかもとは思っていたが、、まさか隣に座ってくるとは想定外だった。


しかも、、可愛い、、ッ!!


昨日は正直顔など良く見えていなかった。

思い出してみれば、、いた。

双子の姉妹で可愛いなんてなんかのエロゲかと思ってた子だ、!

、、てことは、3人のうちのもう1人も双子の片割れか、、


……2… 3


私『、、なに?』


双子A『昨日の聞こえてた?』


私『、、え!何がッ!?』

..5… 7…11...


双子A『ファンです、!って』

..13..17....


私『、、、なんのこと、かな?、』

...19..23.....


堪らない緊迫感だ、、、心臓は既に8ビートから16ビートに変わり、オマケにバスドラまで稼働してる。どうやらツインペダルらしい、。


双子A『あのね、、この子があなたのファンなんだって!!w』


そう言って双子Aはさらにもう一つ隣の席に座っている女子を私に見せるために背もたれにグッと寄りかかり私の視界を開けた。


女子『やめてよ〜!恥ずかしいよ〜ッ!!、』


と、こちらをチラチラと伺い見る女子が確かにいた。


、ッ、、可愛くねぇッ、!!



、、なんか、すいません、、、


いや、あの子は悪くないですよ。

、、ただ、ね、、比較しちゃうとね、、。


最初に声かけてきたのが双子Aじゃなくて爆弾岩ってあだ名がついてるような女子ならまだ良かったんだけど、美人の双子ちゃんの片割れを最初に見てたものだから普通より少しでも見た目がクリーチャーだとキメラにしか見えないのは仕方ない。


、、、、、、


しばらく脳停止してた間に、隣の席には双子Aではなくキメラが座っていて、かえんのいきでも出しそうな顔でこちらを見ている、!


逃げ出したとしても、しかし回り込まれてしまうんだろうな、、と思いながら、、なんとか歯を食いしばって


『、、それはどうも、。』


と、歯の隙間から漏らすのが精一杯の誠意だった。



その後数日間はやいのやいのとクラスメートに冷やかされ、何かと同じグループにされたりキメラの話題になると、私を見て皆ニヤつくのだ。

私はというと一貫して冷血のマスクを被っていたため、特に気になることはなかったが面倒だなとは思っていた。



人の噂も75日と言うが、それよりは随分早くキメラも手応えがない私に面倒臭くなってくれたようで一連の騒動は収束をみせた。



風の噂でキメラが


『あいつ程度ならどうにかなると思ったんだけどなぁw』


と嘯いていたのを耳にした時は一瞬私も阿修羅面をかぶったりしたものだが、すぐに収まった。


その後はしばらく特に目立ったことはなかったが、らんま1/2の女らんまが気になって金曜日は少し早めに帰宅したりしていたらいつの間にか3年生になっていた。

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