戦闘

第11話 新しい旅

それは、“忘れられた未来”

ここは、終わりを迎えてしまった世界線。


「鎖が痛い…でも、早くいかなきゃ…!」

ライドは必死で柱に繋がれた手錠を引っ張っている。

「間に合わなければみんなが…!」

がりがりと手錠が音を立てる。

「させない、させないぞ!!」


脱出してきたときには、もう、遅かった。

「ゔああああっ!みんな…」

ちらほら見える仲間のシルエット。

「こんなになるまで、待っててくれたのに…ぼくは…」

地面がえぐれた凄まじいまでの惨状。

「まに、あわなかった!!」

手も足も、使い物にならなくなっていても、仲間の為に泣いた。

「あああぁぁぁーーーーーー!!!」


そう、これは救われなかった世界の話。



リリは不満があった。

「リクセル。わたし、“役立たず”ですか…?」


「リリ様?どうしたんです…そんなことないですよ。勉学にもコツコツとゆとりをもってはげまれ、その上に能力の修行だって…」

必死に言い募るリクセル。その間にも、リリの瞳からこぼれる涙の数が増えてゆく。

「私、見ているだけじゃ、ないですか…ライドさんを…。レフト様が操られていることにも気がつかずに…」

「リリ様のせいではありません。ライドさん達のお見送りに行きましょう」

その両手は大切に握られる。


「僕たちは、行きます。ツリーハウスタウンに戻らなくちゃ…お世話になりました」

「ライド君、これを。」

ナリアが小型の機械を差し出した。

「小型トランシーバー…?」

「そう。私の力が必要になればいつでも言ってちょうだい」

力強く言ったナリア。

レフトはライドの横で感慨にふけっている。

「ライドはホテルのオーナーまで味方につけたのか。すごいな」


そこへ、リクセルとリリが見送りに来た。

「見送りにきました。ライドさん、気を付けて行ってきてください」

市販のクッキーを差し出すリクセルが横によけると、リリが進み出て言った。

「ライドさん、…頑張ってください!私もお力になれるよう努力します」

少し泣きはらした目に、強い光をたたえて。


みんなの顔を見渡したあと、僕は言った。

「ありがとうございました。行ってきます」

「ありがとうございました」

ライドに続けてレフトも言った。

…これからが、僕らの旅だ。

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