第11話 雨

今日は一日中雨が降っていた。風鈴は時折窓の外を眺めながら、始終眠そうな様子で微睡んでいた。


うとうとはしているが、遊び足りないのか、私の方を見て「にゃー」と鳴く。自分の尻尾をぴょこぴょこと動かしては、くるくると追いかけ回すほど、暇を持て余しているようだ。


目をまん丸にして、何か面白いものはないのかとキョロキョロしているが、めぼしいものがなかったのか、部屋を一周するたびに私の元にきては「にゃ」と短く鳴いた。



程なくして歩き疲れたのか、私の隣に寝転び、私を見てくる。

背中を優しく撫でてやるとゴロゴロと喉を鳴らし、私の顔を舐めてきた。


一度構い始めると、撫でる手を少し止めただけで「にゃーにゃー」と抗議を始め、私の肩に乗ったり、手首を噛んでくる。


猫はきまぐれな生き物だと、飼う前は思っていた。

しかし風鈴は自分が一番でないとすぐに抗議してくるほどわがままで、それでいて一匹だと孤独が不安で帰宅するとものすごく甘えてくる。


結局は親バカなのだが、顔を噛まれても、臭いのするお尻を顔面に擦られても、風鈴は愛らしいのだ。




雨の日は、猫も眠くなる。

私もその隣で眠くなる。


そういった関係でこれからも付き合っていこうと思う。

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