第10話 眠気

いつもは仕事に行って帰ってくると、半分枯れたようなしゃがれた声で「にゃーにゃー」と抗議をしてくのだが、今日は違った。


うとうととしており、ドアの音でまさに起きましたと言わんばかりに、短く「にゃ」とだけ鳴いた。


ケージを開けると、反射行動のように出てくるが、私の足元に寄り添っても、うとうととしている。


とあるホームページ(それは猫の飼い主向けの内容盛りだくさんのウェブページ)で、

「猫は雨音で眠くなる」と書いてあった。


理由としては、雨の日は狩りの収穫が少ないから、というもの。



そういえば、帰ってくる途中、若干地面が濡れていたから通り雨でも降ったのかもしれない。


そう自己完結しようと思ったのだが、私がテレビを見ても、音楽を流しても一向に起きない。


正確には耳は動いているため、反応はしないが、起きようとしないといったところだろうか。


雨の音関係なしに今日は眠い日のようだが、いつもとの違いに戸惑い、とりあえず撫でてやると手をガブリと甘噛みされてしまった。



いつもはうるさいほどに私の耳元で「にゃーにゃー」と鳴くのに、なんだか不公平だ。



そうしてこっそり写真を撮ろうとすると起き出して走り回る。本当に不公平だ。




だが、そんな日常もきっと幸せなんだと思う。

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