第2話 思い出

「ただいま」

 家につくと母親から

「卒業おめでとう」

そう言われたが、特に何もせず三年間が過ぎ去った感じで何がおめでたいのか実感が沸かなかった。部屋に入り、高校になってもこんな感じで三年間過ごすのかなと思うと、何もかもが面倒くさくなった。そこで、高校の入学式までに部屋の整理を済ませようと小さい頃から使っていた本棚を片付け始めると、昔使っていた懐かしいおもちゃや本が出てきた。この漫画、小学生のとき大好きだったな、でも今となってはなんだこれって感じのものだった。

「ボトッ」

何だ、と思って振り向くと、小さい頃使っていたジャグリングの青いボールだった。何度も失敗しながら練習したな。でももう使わないから捨てるか……、そう思った瞬間、ショップで見た女の子が頭によぎった。それにしてもあの子上手だったな、いろいろと悩んだが、結局ボールを捨てることができなかった。その後も瓢箪みたいな形をしたディアボロやリングが出てきて、気が付くと部屋はジャグリングの道具がたくさん散らばっていた。

「あーあ」

ユウキは嫌な思い出がよみがえり部屋の整理をほったらかし、寝転がった。

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