第5話

「司祭っ、あれじゃ!」

「忘れてましたっ!!」

 司祭が手をかざすと、そこに背丈ほどもある杖が現れる。それを……。

 バンッ!

 振り下ろされたベッドは粉々に砕かれたのであった。

 本とか鈴とかでの攻撃よりは、ま、腑には落ちる。

「二話も続けてベッドに潜り込まれる話じゃったから、読者も飽きると思っての、対策を打ったのじゃ」

 第1話の末尾も寝たままでした。

「勇者さま一行が壺や樽、ベッドを壊すのはお約束でしょっ!」

「ベッドは違うだろ!」

 まぁ、ベッドに乗って空を飛ぶよりはマシ、かな?

「女王、器物損壊罪で司祭を告訴」

「司祭、家も壊すのじゃ」

「はい、王女さまっ!」

「文化財でしょ、ここ」

「国家の意思さえあれば、どこであろうと壊し放題じゃ。珊瑚礁の海も、特別天然記念物が営巣する山林もじゃ」

 そして、苦渋で歪めた顔を演出しながら勇者に迫る。

「嫌ならば、司祭とともに旅立つのじゃ」

「朝も、昼も、夜も、布団の中も勇者さまと一緒ですっ!」

 目をうるませて迫る司祭に、勇者はため息を吐く。

「わかった、行く……」

 司祭はガッツポーズをした。

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