走る~走る~俺たち🎶 マルベーリャ

 海外は日本より治安が悪いというけれど、どの街も普通に歩いている分にはさほど危険を感じることはありません。でも、実際に被害にあうかは別にしてドキッとかヒヤリとする事はやっぱり日本より多いかも。


 例えばスペインで目撃した事件?というか出来事はこんなカンジ。


 スペインはアンダルシア。コスタ・デル・ソルのマルベーリャ。日本語にすると太陽の海岸(コスタ・デル・ソル)の美しい海(マルベーリャ)ですから当然セレブの別荘も多いし海岸には高級ホテル。まあ、スペインを代表する高級リゾート地のひとつデス。


 私たちはお隣のリゾート地からランチタイムにマルベーリャ到着。もう七月に入っているのでビーチも遊歩道もけっこうな人・人・人。

 その遊歩道沿いの予約しておいたレストラン。オープンテラスでお食事。

 ミシュランスターのはずですが、ずらっと遊歩道沿いに並んでいる他のレストランとそんなに変わらない雰囲気。そんなに混んでいないし。人気ないのかな・・ちょい不安。


 でも、それも杞憂。メニューを見ている間にどんどんお客さん。まあ、僕たちがちょっと早かっただけ。スペインは昼ノンビリですからねえ。


 それに、他の店とあまり変わらないと感じたのは店構えがどこもリゾート仕様のオープンテラスで似ているから。でもお客さんが入ってくると他のレストランとはみるみる別世界に。

  まあ、いらっしゃる方々が皆さんとってもお上品。ビーチ近くなのに服装がユルくない、というよりむしろキッチリ。それでいて堅苦しくないリゾート感。こういう店にはそれなりの格好でという因子がDNAに組みこまれているんでしょうねえ。コチラの方々は。


 そんな上品な皆さんで埋まったお店はあっという間に“他と変わらない”、から“さすがミシュランスター”の雰囲気に。それにしてもお客さんがつくる雰囲気って大事。あ、その中に僕らも。まあ大丈夫・・だと思う・・多分・・。


 食事もデザートまで美味しくいただきおなか一杯。腹ごなしに遊歩道を散歩することに。ベージュの砂浜にカラフルなビーチパラソル。青い海にさんさんと降り注ぐ太陽。うーん、水着になって海に飛び込みたいなあ・・。


 ぶらぶら歩いているとプチ・トラン発見。


 プチ・トランはヨーロッパの観光都市ではどこでも見かける列車の形をした小さな観光車両。これ便利なんですよネ、けっこう細い道も入ってゆくし効率よく街の見どころを走ってくれます。

 なので、どんな街かサクッと見てみたいときには最適。マルベーリャでの僕たちにはピッタリ。


 プチ・トランの停車場所は遊歩道を一本入ったやや広い道。でも人影はナシ。運転手さんもランチかな・・。時刻表をみると出発はあと10分くらい。列車の横で待つことに。


 でもホントに10分?スペインだし、とか思っていると大きな足音。運転手さん?

 足音の方向を見ると全速力でこちらに向かって走ってくるのは背の高い若い黒人。運転手さんではなさそう・・。


 コチラ全員プチ・トランに並んで(へばりついて?)道を空けお見送り。

 いやあ、眼の前を通り過ぎた黒人の迫力のあったこと。なんてったって全速力。

 でも、なんで?


 すると、一息つく間もなくまた足音。今回はプラス大声。


「○ק%#○!!(多分、“コラ待て!”)」


 今度も全速力。それも当然。走ってくるのは警察官。

 我々は再びプチ・トランにへばりついてお見送り。


 一瞬の間に眼の前を走り抜けていった二人。考えるまでもなく逃げる犯人と追うポリスマン。ということは、黒人が持っていた小さなバッグは他人様のモノ?


「今のってやっぱり・・」


「ひったくりと警官?」


 コチラは皆、しばし茫然。でもちょっと落ち着くと・・。


「こういうホンモノの捕り物って、まず見ないわよネ」


「映画の世界だわ」


「でも怖いわよ。眼の前を通っていったのよ」


「そうね、やっぱり日本とは違うわね」


 ホントに。

 まあ、日本でもあるでしょうけど普通は遭遇しませんからねえ。


 でも二人とも走るの速かったなあ。僕なんかでは追いかけられないし、逃げられない(まあ逃げることはないか・・)気をつけなきゃネ!

 


 

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