お産は文化

 妊娠中、妹と一緒に『プルミエール 私たちの出産』という映画を見に行きました。内容は世界10カ国の女性の妊娠から出産までを取材したドキュメンタリーです。


 ちょうどその日はレディースデイということもあったんですが、映画館は妊婦だらけで(笑)テレビで紹介されたこともあってか、単館上映の映画ながらけっこうな盛況ぶりでした。


 なかなか興味深い映画でしたよ。国が違えば文化も違う。出産といっても、それぞれの国が持つ文化や事情によって、けっこう変わるものなんだなぁと。


 イルカと一緒に水中出産、医療介助なしで自宅出産、近代的な病院での無痛分娩、昔ながらの在り方にこだわった自然分娩――。何がよくて何がダメとか、そういうことは一概には言えないんだろうなと思います。


ちなみに、私たち姉妹の感想はというと――。


「私、フランスの無痛分娩が一番自然に見えたんだけど……」

「私も。無痛じゃないけど大学病院で産む選択が自分にはベストだと改めて思った」


ザ・姉妹です(笑)


 私が妊娠していた頃って、妊娠・出産の在り方についてわりとメディアで取り上げられていた時期だと思うんですね。妊婦さんの救急搬送たらい回し事件もありましたし、産科医不足や産院不足は深刻でしたから。そういった背景もあり、助産院で産むという選択や、それを後押しする自治体もテレビで紹介されたりしていましたね。


 どういった出産方法を選ぶかは、基本的に妊婦(産婦)さんの自由だと思うんです。病院で産むのも、助産院で産むのも、或いは自宅で産むのも。もちろん、安全面の配慮がきちんとあることが前提です。


 それぞれの選択肢にメリット・デメリットがあります。そして、妊婦さんの状況もさまざまです。だから、つまるところ大切なのは「自分に合った方法を選ぶこと」に尽きるのではないかと。


 いくら自宅出産を希望していても、ハイリスクで帝王切開となると病院で産むしかありませんし。子どもたちに弟妹が生まれる瞬間を見せてあげたいと思ったら、病院の規則では難しいので助産院を選択することになるかもしれません。


 妊娠・出産って微妙な位置づけなんですよねぇ(苦笑)病気じゃないといえばそうなんですけど、状況としては病気とあまりかわらないっていうか(汗)定期的な通院・健診が必要で、場合によっては食事制限や服薬があったりして。


 医師や助産師とともに注意深く経過観察をしながら生活するのって、病気しているのと大差ないと思うんですよ。でも、決して病気じゃない(笑)ただ、命がけっていうのは本当ですからね。


 私は大学病院での出産だったので、入院中にはハイリスク出産をされた方に会うこともありました。お話を聞くと本当にもう壮絶でしたよ。分娩時の出血が多量すぎて、母子手帳の出血量の欄が空白だったとか(汗)自分より後から入院してきた人がどんどん退院していくのに自分だけはいつまでもそこにいる辛さとか……。


 我が家は一人っ子なので、私は妊娠・出産での入院って大学病院でのそれ一回きりなんですね。だから、個人の産院のことはよくわかりません。ただ、メモリアルやラグジュアリといったことを掲げる個人のクリニックと比べると、大学病院ってかなりシビアなところなんじゃないかなぁと思います。


 母子のうちどちらかが助からなかったり、或いはどちらも助からなかったり……。そういったことが起こる厳しい現場ですから無理からぬことなのでしょうけど、常に一定の緊張感が漂っている感じがありました。


 ちなみに、日本は「小さく産んで大きく育てる」ことを良しとする文化で、妊婦の体重管理や栄養管理が非常に厳しいわけですが。アジアの某国では「大きく産んでこそ!」という文化があるようですよ。妊婦さん、大変そうですよね(汗)


 そりゃあまあ「きょ、巨大児になったらどうしよう。大きくなりすぎないで~」という心配もけっこうな気苦労ですが。ところかわれば、いろんな苦労があるものですね(苦笑)

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