ぬくもり

ここに来れてよかった


美味しいごはん


安全な寝床


目やにで潰れたわたしの目に


あなたは日に三度も目薬をさしてくれた


あなたに会えてよかった


殴ることも 怒鳴ることもなく


おびえるわたしたちの頭を撫でてくれた


最後の日


あなたは泣きそうな顔で


「ごめん、見つからなかったよ」と わたしたちに詫びた


わたしたちは笑った


人間のぬくもりを 唯一感じられたのは


何の望みもなかった一生の最後に ささやかな希望をくれたのは


ここでの3日間でした


この日々の記憶があれば このぬくもりがあれば


わたしたちはきっと 生まれ変わっても


世界と人間に絶望することはないでしょう


ありがとう 



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N市立 動物愛護センター 日報


〇月〇日

子猫 5頭(捨て猫 全て4ヶ月齢)


抑留期間3日間のうちに引き取り手見つからず  殺処分


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詩集「彼女たちの詩」 藍川あえか @izanagi3

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