A型と私

 A型とB型というのは、水と油の関係のように言われている。

 性格が真逆で、とことん相性が悪い。

 実際にそうなのか? 私にはよくわからない。

 私は、A型とまともに接触したことがないからだ。


 日本で一番多い血液型と接触したことがないなんておかしいだろう。私もそんなことはないと思っている。けれど、「血液型何?」と言い合う関係にほぼなったことがないので、相手の血液型がわかるまでの深い関係になれてないというほうが正しい。

 B型はA型に敏感だと思う。逆もまたしかり。

 しかし、A型の人はあまり血液型を会話に持ち出したりはしないように感じる。あくまでも印象だ。

 それはA型が最も多く、仲間を探さなくてはいけない状況がないからなのではないだろうか。

 じゃあそもそも誰が血液型を聞いてくるのだというと、それは少々疑問が残る。

 O型は血液型そのものに興味がないし、AB型は珍しがられるので自らは言わない。B型はバカにされるので自ら墓穴を掘るような真似はしないはずなのだ。

 ではやはり王者の視点から、「どれ、下々の血でも調べてやるか」と話題を振っていただいているのであろうか。私の記憶では、言い出しっぺだけはなぜか血液型の暴露を逃れているイメージなので、よくわかっていない。


 A型が日本を支えていると、私は本気で思っている。

 私の中でA型は優等生だ。B型ははみ出し者だ。

 だから敵うわけがない。初めから逆らう気はないのだ。

 けれど、言うことを素直にきくほどよく出来ていない私は、自然にA型を避けるように生きてきた。

 周囲が『B型っぽい』という印象を抱くように、私もまた、『A型っぽい』人を見つけては、なるべく係わらないように過ごすのである。


 以前、清掃の仕事に就いていたことがあるが、そこにいた上司がA型だった。

 私は決められた箇所を綺麗に磨いては満足しきっていたが、A型の彼女は、誰も見ない隠れた場所さえもじっくりと見て「汚れている」といって熱心に掃除するのだ。

 私もバカみたいに思い付きで一箇所を磨くという謎の達成感を得ることがあるが、彼女にとってはそれが通常営業だ。

 勝てない戦はするつもりがない。


 A型とB型は相性が悪いのではない。

 力関係が最初から決まっているだけなのだ。

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