B型と私

 B型ってなんて面倒くさい。

 私はB型の自分が好きだと思う。

 けれどそれは性格や顔や行動が好きなわけじゃない。

 傷つきたくなくて、可哀想だと思っていて、自分しか自分をいたわってあげられないと信じているからだ。


 本作を書くにあたり、一冊の本の一文に目を奪われた。

 B型のことを、『自分がわからなくて迷子になる』と書いてあった。

 なんだが目からうろこが落ちたような気になった。

 この一文では自分を見失っているようにとらえられるかもしれないが、私はそうではないと思う。自分のことは自分が一番わかっている。むしろ自分しかわからないと思っている。

 だからこの文の意味は、『世界の中の自分の位置を見失っている』というものだと私は考える。

 もちろん私なりの解釈なので、本当のところはわからないのだが。


 話はB型との相性だった。

 先ほど述べたように、私は自分の立ち位置を常に探している。

 ある日はお調子者になってみたり、毒を吐いてみたり、親身に相談に乗ったり、無視してみたり。

 いつだってフラフラとその場でキャラを決めかねている。

 急激な変化に弱く、想定外のことが起こるとすぐにパニックになる。

 そんな私が二人いたら、どうなるだろう。

 いつも緊張の連続だ。突然何を繰り出してくるかわからない不思議な生き物に、ビクビクしている。

 B型とB型というのは、そういうものなのだ。


 家族にB型がいるのだから大丈夫だろうと思うだろうが、私は娘と以前、極端に仲違いした時期があった。

 自分で決めることが出来ない幼い頃はよかったが、自我が目覚め自己主張を始めたことによって混乱がもたらされた。

 娘もまた、自分の立ち位置をはかっていた。私もまた、はかっていた。

 互いが互いを警戒し、何度も衝突した。

 しかしある日、私は娘をすんなり受け入れられるようになった。

 唐突に娘を理解したのだ。

 それから娘は目に入れても痛くないくらいの可愛い子供になった。今となっては高校生だというのに毎日ベラベラと喋りまくる友達のような親子関係を築けている。


 後に書くつもりだが、B型は人見知りだ。

 私と娘は、お互いに人見知りの時期だったのだ。

 それが急に受け入れられる時がくる。きっかけはわからない。この人だったら大丈夫だと突然思うのだ。

 B型同士はいつも緊張の連続だ。


 まったくB型は面倒くさい。

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