貴族の少女と裏世界を生きる少年が出会うことで始まる大きな運命の物語

 貴族の少女と、凶賊と呼ばれる裏世界を生きる一族の少年。
決して出会うことのない二人ですが、少女が凶賊に助力を求めたことで出会います。そして、そこから運命の歯車が大きく動いていきます。

第一部は「出会いと始まり」、主人公二人の出会いを主軸に、それを取り巻く個性溢れる登場人物が、敵味方関係なくこれでもかって出てきます。
 ナイスミドルな魅力溢れる凶賊の総帥、どこか影のある草の香漂う美女、狂犬と呼ばれる警官、人畜無害そうな若き貴族の息子、敵にするには惜しい真っ直ぐな男と天真爛漫なその娘、そして不気味な真の敵──。
 これだけのキャラを書き分けてつつ、複雑に絡み合った話をきっちりと進めてくる作者さんの力量にまず脱帽です。

第二部は「理解と変化」、一部で隠されていた部分が次々と明かされていきます。「デヴァイン・シンフォニア計画」とは何か、そもそもの始まりは何か。
同時に登場人物の過去もいろいろと明かされていきます。
それは次へと進む新しい情報であったり、苦しみ抜いた果てに手に入れた幸せであったり、過去への決別であったり。

 主人公たちだけでなく、出てくる人物はどれも人間味あふれ魅力的。そのキャラたちが自分たちで考え悩み、未来に向かって進んでいきます。
 「生きるとは」という大きなテーマを、王族・貴族たちの権力争いなどを交えて描いたとても読みごたえのある物語です。
 もちろん、主人公二人の甘い恋も忘れずに! ここ、大事。

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